喫茶店で申込んでも解除できるのか? — クーリング・オフの「できる場所」と「できなくなる時期」
クーリング・オフ(法37条の2)・手付の制限(法39条) ここで押さえておくべきキーワード
「どこで申込んだか」でクーリング・オフできるかどうかが決まる
クーリング・オフの可否を決めるのは「契約した場所」ではなく「申込みをした場所」です。事務所や専任宅建士を置く案内所等(「事務所等」)で申込みをした場合はクーリング・オフができません。それ以外の場所(喫茶店・自宅・買主の職場など)で申込みをした場合はクーリング・オフが可能です。ただし、告知書面を受けた日から8日が経過すると、場所によらずクーリング・オフができなくなります。
この論点はどう出る?
AランクのQ=40以上の超頻出論点で、毎年出題されます。「申込みの場所が基準(契約の場所ではない)」「告知書面受領日から8日間を超えると不可」「書面による告知が必要(口頭では8日のカウントが始まらない)」「クーリング・オフ時に業者は損害賠償を請求できない」「手付金の上限は代金の20%」が繰り返し問われます。「事務所等以外で申込み・事務所等で契約→クーリング・オフ可」という組み合わせ問題も頻出です。
なぜ押さえる必要がある?
クーリング・オフは「場所的クーリング・オフ」とも呼ばれ、消費者が業者の強引な勧誘に乗せられて不利な場所で申込みをしてしまった場合に、冷静に判断し直す機会を与える制度です。手付の制限は、業者が不当に高額な手付を要求して消費者を縛り付けることを防ぐためです。いずれも「自ら売主制限(8種制限)」の一つとして業者×非業者の取引に適用されます。
前提として何を知っておく?
→ 自ら売主制限総論
自ら売主制限の総論では、8種制限が「宅建業者が自ら売主・宅建業者でない買主」の取引にのみ適用されることを確認しました。クーリング・オフも手付の制限も業者間取引には適用されません。
クーリング・オフができる場所・できない場所(法37条の2)
クーリング・オフができるかどうかは「申込みをした場所」で判断します(法37条の2第1項)。
クーリング・オフが「できない」場所(事務所等)
①宅建業者の事務所
②専任宅建士の設置義務がある案内所等
③売主の展示会場
④買主が自ら申し出て自分の自宅・職場で申込んだ場合
クーリング・オフが「できる」場所
①喫茶店・飲食店等の公共の場所
②買主の自宅(業者から申し出た場合)
③買主の職場(業者から申し出た場合)
「買主側から申し出た自宅・職場」はクーリング・オフ「できない」側(事務所等とみなされる)になることに注意が必要です。
申込みと契約の場所が異なる場合
クーリング・オフは「申込みをした場所」が基準であり、契約した場所は関係ありません。
例①:事務所等で申込み→喫茶店で契約→クーリング・オフ不可
例②:喫茶店で申込み→事務所等で契約→クーリング・オフ可
例③:喫茶店で申込み→喫茶店で契約→クーリング・オフ可
クーリング・オフができなくなる時期
クーリング・オフができる状況でも、次の場合は行使できなくなります。
①書面による告知から8日が経過したとき
業者がクーリング・オフの方法や効果を記載した書面を交付した日から8日間が経過すると行使できません(法37条の2第2項・3項)。
重要なのは「書面による告知が必要」という点です。業者が口頭で「クーリング・オフできます」と言っても8日のカウントは始まりません。書面交付の日からカウントが始まります。
②代金全額の支払い+物件の引渡しが完了したとき
代金の全額支払いと不動産の引渡しの両方が完了した後はクーリング・オフできません(法37条の2第1項ただし書)。
クーリング・オフの方法と効果
クーリング・オフは書面で行います(口頭では不可)(法37条の2第1項)。
クーリング・オフの効力は「書面を発した時(発信主義)」に生じます(法37条の2第2項)。書面が業者に到達する前でも、発送した時点でクーリング・オフの効果が発生します。
クーリング・オフが成立した場合、業者は「損害賠償の請求」「違約金の請求」をすることができません(法37条の2第3項)。業者は受領した金銭(手付金等)を速やかに返還しなければなりません。
手付の制限(法39条)
宅建業者が自ら売主として売買契約を締結する場合、手付金の額は代金の20%以下でなければなりません(法39条1項)。
20%を超える手付の合意は、その超過部分が無効となります(法39条2項ただし書の類推——法39条1項に違反する特約は無効)。
また、手付は「証約手付・違約手付」として扱われ、買主は手付放棄・業者は手付倍返しで契約を解除できます(民法557条、法39条2項)。
業者が手付を受領した後、正当な理由なく解除を妨害するような行為は禁止されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判断基準 | 申込みをした場所(契約の場所ではない) |
| 期限 | 書面告知から8日以内(口頭告知ではカウント始まらない) |
| 方法 | 書面(口頭不可)・発信主義 |
| 効果 | 損害賠償・違約金の請求不可。受領金銭を速やかに返還 |
| 手付の上限 | 代金の20%以下(法39条1項) |
ここまでの要点は?
- クーリング・オフの判断:「申込みの場所」が基準(契約の場所ではない)
- 事務所等での申込み→クーリング・オフ不可
- 事務所等以外での申込み→クーリング・オフ可(書面告知から8日以内)
- 告知は書面が必要(口頭では8日のカウント始まらない)
- クーリング・オフ成立→損害賠償・違約金の請求不可・発信主義
- 手付の上限:代金の20%以下(法39条1項)