国土法で「取引に許可が要る区域」とは? — 規制区域と許可制
許可制 ここで押さえておくべきキーワード
届出だけでは足りない場所がある
国土利用計画法(国土法)の主な土地取引規制は「届出制」——事後届出や事前届出によって知事に利用目的を申告する仕組みです。しかし、地価急騰が特に深刻な地域では、届出だけでは間に合いません。そのような地域には、取引そのものに都道府県知事の許可を必要とする「規制区域」という強力な制度が用意されています。
届出制が「取引したあとに(または前に)報告・審査」なのに対して、許可制は「取引そのものを事前に承認してもらわないとできない」。規制の強さが根本的に異なります。ただし、あまりにも規制が強いため、現在まで実際に規制区域として指定された区域は一度も存在しない——という現実もセットで押さえておく必要があります。
この許可制で何を学ぶ?どう出る?
規制区域は、土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、または行われるおそれがあり、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあると認められる区域として、都道府県知事が指定する(法12条1項)。この区域内の土地取引は、面積にかかわらず事前に知事の許可が必要になる(法14条1項)。
Cランクで試験への出題は少ないです。出題される場合は「規制区域内は面積に関係なく許可が必要」「許可なし取引は無効(取消可能ではなく無効)」「不服申立ては土地利用審査会」といった、他の規制制度との差異を問う問題が中心となります。
なぜ押さえる必要がある?
事後届出制・事前届出制と比べると、許可制は現実には機能していない制度です。しかしだからこそ、「形式上どういう仕組みになっているか」を知ることが試験上の意味を持ちます。届出制では「勧告に従わなくても契約は有効」だったのに対して、許可制では「許可なし取引は無効」という決定的な違いがあります。この違いが問われることがあります。
また、国土利用計画法全体の体系を「届出制→許可制→遊休土地措置」という順に理解することで、法の目的(土地の計画的利用・地価安定)の全体像が見えてきます。
前提として何を知っておく?
→ 事後届出制
事後届出制と事前届出制を理解してから読んでください。許可制は届出制よりも強力な規制であり、同じ国土法の枠組みの中で使い分けられます。次節では遊休土地への措置が続きます。
規制区域とは何か
規制区域とは、都道府県知事が、地価急騰・投機的土地取引が相当範囲にわたって行われている(またはそのおそれがある)地域として指定する区域です(法12条)。都市計画区域内でも都市計画区域外でも指定が可能であり、その区域内の全ての土地取引に許可制が適用されます。
現実的には、この制度の規制は強すぎるため市場機能を大きく歪めるとして、指定された区域は現在まで一か所も存在しません。「規制区域は概念上存在するが、実際に指定された区域はない」という事実は試験でも出題されることがあるため、覚えておきましょう。また、規制区域として指定された場合、指定された旨の公告が必要です(法13条)。
許可が必要な取引と、許可なしで取引した場合の効力
規制区域内であれば、取引の面積に関わらず全ての土地取引に都道府県知事の許可が必要とされます(法14条1項)。この「面積不問」という点が事後届出制・事前届出制との大きな違いです。事後届出・事前届出では一定面積以上(都市計画区域内なら2,000㎡以上など)という要件がありますが、規制区域では小面積の取引でも許可が必要になります。
許可を受けずに行った土地取引は無効となります(法14条3項)。届出制での「勧告に従わなくても契約は有効(勧告は行政指導だから)」というルールと比べると、許可制は格段に強力です。取引を完全に封じる法的効力がある点を押さえておきたいです。
許可が下りなかったときの手続き
許可申請をして不許可とされた者は、都道府県に設置された土地利用審査会に対して審査請求(不服申立て)をすることができます(法15条)。通常の行政不服申立先(知事に対する再審査請求等)ではなく、専門機関である土地利用審査会が設置されている点が特徴です。
また、規制区域内で許可を受けられなかった者は、都道府県知事に対して当該土地の買取り請求をすることができます(法16条1項)。「土地を売りたいのに許可が出なくて売れない」という状況では、知事が公示価格以下の時価で買い取ることになります。これは許可不許可によって所有者が不利益を被ることを防ぐための救済手段です。
ここまでの要点は?
- 規制区域 = 地価急騰・投機的取引が集中する地域として知事が指定する区域。現在、指定区域は存在しない
- 規制区域内は面積に関わらず全取引に許可が必要(届出制の「面積要件あり」との違い)
- 許可なし取引は無効(届出制の「勧告に従わなくても契約有効」との違い)
- 不許可への不服申立先は土地利用審査会
- 不許可を受けた者は買取り請求が可能
過去問で確認しよう
規制区域・許可制は出題頻度が低いため、Cランク学習として後回しにしてよいでしょう。事後届出制・事前届出制・遊休土地措置を先に固めましょう。