区画整理中の土地に建物を建ててもいいの? — 建築行為等の制限
工事中に勝手に何かを建てると事業が止まる
土地区画整理事業は、施行地区内の土地を再配置し、道路・公園などの公共施設を整備する大規模な工事です。この工事が進行している期間中に、施行地区内の土地で個々の権利者が自由に建物を建てたり土地の形状を変えたりすると、事業の計画が成り立たなくなります。新しい道路の予定地に家が建ってしまえば、道路整備ができなくなるからです。
そこで土地区画整理法76条は、事業の開始から換地処分が完了するまでの間、施行地区内で一定の行為をするには都道府県知事または市長の許可が必要だと定めています。これが「建築行為等の制限」です。Aランクで出題頻度が高く、「期間はいつからいつまでか」「何をするのに許可が要るか」「誰の許可か」の3点が試験の核心です。
この制度で何を学ぶ?どう出る?
試験では①制限が始まるタイミング(組合設立認可または事業計画決定の公告の日以後)、②制限が終わるタイミング(換地処分の公告がある日まで)、③制限の内容(土地の形質変更・建築物の新改増築・移動困難な物件の設置堆積に許可が必要)、そして④許可権者(都道府県知事、市施行の場合は市長)が問われます。
「施行者の許可が必要」という誤りの選択肢が出ることがありますが、許可権者はあくまで知事または市長(行政)であり施行者ではありません。また、国や地方公共団体が制限行為をする場合は許可不要ではなく、知事等と協議することが必要とされている点も注意したいです。
なぜ押さえる必要がある?
土地区画整理事業が円滑に進むためには、施行期間中に施行地区内の現状が安定していることが必要です。もし誰でも自由に建物を建てたり土地を削ったりできれば、換地計画の前提となる宅地の状況が変わってしまい、計画通りの換地処分ができなくなります。76条の制限はそのような事態を防ぐための措置です。
また、この制限は「公告」という行政処分によって始まり、換地処分の「公告」によって終わります。公告というイベントを基点に制限が発生する仕組みは、都市計画法の開発許可手続きや建築確認と似た構造を持っており、法令上の制限全体の学習で横断的に理解することができます。
前提として何を知っておく?
→ 換地計画
土地区画整理法の全体構造と手続きの流れを先に把握することが前提です。「組合設立認可の公告」「事業計画決定の公告」「換地処分の公告」がそれぞれ何を意味するかを理解した上で本節を読むと、制限の期間設計の意図が理解しやすいです。また仮換地の期間との関係も確認しておくとよいでしょう。
制限の対象となる期間
建築行為等の制限が適用されるのは、次のいずれかの公告があった日以後、換地処分の公告がある日までの期間です(法76条1項)。
- 組合施行:組合設立認可の公告があった日以後
- 個人施行・会社施行:事業計画の決定の公告があった日以後
- 市町村施行等:同様に事業計画決定等の公告日以後
要するに、土地区画整理事業が法律上スタートした公告の日から始まり、換地処分の公告があるまでの間、施行地区内の土地について建築行為等の制限が続きます。換地処分の公告によって事業の効果が確定すれば、再び自由な利用が可能になります。
制限の内容:何をするのに許可が要るか
施行地区内において次の行為をしようとする者は、都道府県知事または市長の許可を受けなければなりません(法76条1項)。
- 土地の形質の変更(掘削・盛土・地盤整形など)
- 建築物その他の工作物の新築・改築・増築(新築だけでなく改築・増築も対象)
- 移動の容易でない物件の設置または堆積(大型重機・資材の長期保管など)
これらの行為は、換地計画や工事の進行に支障をきたす可能性がある行為として、個別に許可を要求しています。なお、許可の権限を持つのは都道府県知事(市が施行主体の場合は市長)であり、施行者(組合など)ではない点を混同しないことです。
国または地方公共団体が施行地区内でこれらの行為を行う場合は、許可ではなく都道府県知事等との協議をもって足ります(法76条1項ただし書)。
ここまでの要点は?
- 制限期間:組合設立認可(または事業計画決定)の公告日以後〜換地処分の公告日まで
- 制限内容:土地の形質変更・建築物等の新改増築・移動困難な物件の設置堆積
- 許可権者:都道府県知事(市施行は市長)。施行者ではない
- 国・地方公共団体が行う場合は許可不要で知事等と協議
過去問で確認しよう
Aランクですが直接出題例は少なく、換地処分の前後で何ができるかを問う選択肢の一つとして登場することが多いです。「施行者の許可」という誤りの選択肢を素早く見抜けるよう、許可権者が「知事または市長」であることを確実に記憶しておくことです。