区画整理事業を進めるのは「民間」なのか「行政」なのか?
土地区画整理事業の施行者 ここで押さえておくべきキーワード
「土地が整理されるまで、自分の土地は使えない」
土地区画整理事業が始まると、施行地区内の土地は事業完了まで建築行為等に制限がかかります。その期間、誰が事業を推進し、誰に事業認可を申請し、誰の同意が必要なのか——こうした問題の理解は「施行者は誰か」を把握することから始まります。施行者によって必要な同意の割合や、審議機関の設置義務が変わるため、種類と要件を整理しておくことが重要です。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
施行者はBランクの論点で、9問の過去問が積み上がっています。試験では「土地区画整理組合の設立に必要な同意要件(3分の2以上)」「区画整理会社は全員の同意が必要」「公的施行では土地区画整理審議会を置かなければならない」などが繰り返し問われます。H29年(問21-1・21-3)・R1年(問20-2)・R2年(問20-1・20-2・20-4)での出題実績があります。
なぜ押さえる必要がある?
土地区画整理事業は多数の土地権利者の利益を調整しながら進める大事業です。民間施行と公的施行では、事業認可の手続き・強制参加の可否・土地区画整理審議会の有無が大きく異なります。施行者の種類と要件を正確に把握することで、「この設問では誰が施行者か」という出発点を素早く特定できるようになります。
前提として何を知っておく?
土地区画整理法の全体構造と、施行地区の指定・組合の認可申請等の基本的な流れを先に確認します。本節は「誰が施行するか」という主体の問題を中心に扱います。
施行者の種類(法3条〜3条の4)
土地区画整理事業を施行する者(施行者)は、大きく民間施行と公的施行に分かれます。
民間施行(法3条・3条の2)
民間施行には3種類があります。
① 個人施行:施行地区の宅地について所有権または借地権を有する者が1人以上で施行できます(法3条1項)。ただし、他の宅地の所有権者・借地権者の権利を侵害しないよう条件が定められており、都道府県知事等の認可が必要です。個人施行は小規模な区画整理で利用されることが多く、施行者が自らの宅地についての整理を完結させる形式です。
② 土地区画整理組合:施行地区内の宅地の所有権者または借地権者が7人以上集まり、施行地区内の宅地について①宅地の地積の3分の2以上に相当する宅地の所有権者、かつ②その宅地の所有権者の数の3分の2以上の同意を得て設立します(法14条1項)。組合の設立には都道府県知事等の認可が必要です。組合員は施行地区内の宅地の所有権者・借地権者全員であり、強制参加が原則です(法25条)。組合施行は民間施行の中で最も広く用いられる形態で、地権者が主体的に参加しながら大規模な区画整理を進めることができます。宅建試験では「7人以上・地積3分の2以上かつ人数3分の2以上の同意」という数字が頻出です。
③ 区画整理会社:施行地区の宅地の所有権者・借地権者の全員の同意を得て設立された株式会社が施行します(法3条の2)。組合施行(3分の2以上の同意)より厳格な「全員同意」が必要な点が最大のポイントです。全員同意が必要なのは、区画整理会社が株式会社という私企業形態をとるため、一部の地権者に不利益を強制できないからです。
公的施行(法3条の3・3条の4)
公的施行は、地方公共団体(都道府県・市町村)・国土交通大臣・独立行政法人都市再生機構等が施行します(法3条の3・3条の4)。公的施行は認可なく(都市計画事業として定める場合には)施行することができ、民間施行よりも大規模な事業に活用されます。
公的施行と土地区画整理審議会
公的施行の場合、施行者は施行地区内に土地区画整理審議会を設置しなければなりません(法56条1項)。審議会は宅地の所有権者・借地権者から選ばれた委員で構成され、換地計画・仮換地指定等の重要事項について施行者に意見を述べる役割を担います。公的施行では、地権者が事業の重要な決定に直接参加できる仕組みとして審議会が必須とされています。審議会の設置は施行地区の指定と同時期に行われ、委員は選挙によって選出されます。
これに対し、民間施行(個人施行・組合施行・区画整理会社)の場合は、土地区画整理審議会を設置する必要がありません。「全施行者に審議会の設置義務がある」という選択肢は誤りです。組合施行では総会という組合員全員が参加できる意思決定機関があるため、審議会に相当する機能は総会が担うと考えることができます。試験では「公的施行にのみ審議会の設置義務がある」という正確な記述が問われることが多いです。
| 施行者の種類 | 必要な同意・要件 | 審議会 |
|---|---|---|
| 個人施行 | 所有権者・借地権者1人以上(知事認可) | 不要 |
| 土地区画整理組合 | 7人以上・地積3分の2以上かつ人数3分の2以上(知事認可) | 不要 |
| 区画整理会社 | 所有権者・借地権者の全員同意 | 不要 |
| 公的施行(地方公共団体等) | (同意不要) | 必置 |
ここまでの要点は?
- 施行者は民間3種類(個人・組合・区画整理会社)と公的施行に大別
- 組合設立:7人以上・地積の3分の2以上かつ人数の3分の2以上の同意
- 区画整理会社:全員の同意が必要(組合より厳格)
- 公的施行のみ土地区画整理審議会の設置が義務づけられる