土地区画整理法は、ガタガタの町割りを整え、道路や公園を作り、地主には整理後の土地(換地)を渡す事業のルールです。法律の仕組みは、章立てがそのまま手続きの流れになっています——施行者が決まる → 工事中は建築制限 → 換地計画 → 仮換地 → 換地処分 → 登記。

宅建では毎年必ず1問(H25〜R7の15回すべて・定位置は問20前後)。換地・仮換地・保留地・換地処分——普段の生活で聞いたことのない言葉ばかりで、とっつきにくさはこの科目が随一です。でも60肢を分解すると、言葉のいかつさとは裏腹に、聞かれていることの型はひとつに偏っていることが分かりました。

論点の分解——「流れのどの段階か」×「何を聞かれたか」
この科目の論点は、2つの軸で分解できます。縦は手続きの流れ(=法律の章立て)。横は問いの型——誰・いつ・どこ・何・どれだけ・どう定める。出題者は正しい文の1か所を入れ替えてくるので、どこが入れ替えられたかを15回ぶん数えました。
| 入れ替えられた場所 | 回数 |
|---|---|
| 誰 | 10回 |
| いつ | 3回 |
| どれだけ(数字) | 1回 |
| どう定める | 1回 |
「誰」の中身を文章でほどくと——誰の許可か(知事等か、組合か)が4回、誰に帰属するかが2回、誰がなるか(借地権者も組合員になるか)が2回、誰が行うか(公告・移転除却)が2回。誰がだけでなく、誰の・誰にまで含めた「人」の位置です。「いつ」の3回は登記の制限がいつからか(同一文で2回)と、工事完了前でも換地処分できるか。数字が決め手になったのは総会の半数以上の1回だけで、受験生が身構える7人以上・3分の2・2週間は点を決めていません。この法律は「数字を覚える科目」ではなく、「人を確かめる科目」でした。
言い換えると、出題者のひっかけ方は2種類しかありません。
- 値ずらし——流れのある段階の「人」を別の人に替える(知事等の許可 → 組合の許可)
- 位置ずらし——人はそのままに、流れの上の位置を替える(換地処分の公告後 → 仮換地の指定後)
だから解き方も2つの確認だけです。肢を読んだら、「流れのどこの話か」(位置)と「そこに出てくる人は合っているか」(値)を、次の1枚と突き合わせます。
基本の1枚——「流れ×誰」
だから、覚える表は流れの各段階に「誰」(誰が行う・誰の許可・誰に帰属)を1語ずつ置いたものになります。
| 事業の流れ | 誰 |
|---|---|
| 設立・施行の認可 | 知事等 |
| 工事中の建築制限の許可 | 知事等 |
| 換地計画の認可 | 知事 |
| 仮換地の指定 | 施行者 |
| 換地処分 | 施行者が通知 → 知事が公告 |
| 公告の翌日 | 保留地=施行者・管理=市町村・帰属=管理すべき者 |
| 登記 | 施行者 |
補足を文章で足します。組合の組合員には、所有権者だけでなく借地権者もなります。建築制限の許可は知事等であって施行者・組合ではない。仮換地の指定にあたって審議会の同意が要るのは公的施行だけで、仮換地上の支障建物を移転・除却できるのも施行者です。
「誰」で切れた10回の正解肢は、すべてこの1枚(表と補足)のどこかにあります。特に強いのが建築制限の行——教科書の図の下に書いてある1行そのままの知識で、これを「組合の許可」に入れ替えたほぼ同一文面のひっかけが3回正解肢になりました(H28・R3・R4)。

「いつ」は3回だけ。基準点は換地処分の公告
時点のひっかけは3回で、ぜんぶ換地処分の公告の周りに出ています。
- 施行地区内の他の登記の制限が始まるのは「公告後」から(「仮換地の指定後」とすり替えた同一文がR1・R7で2回)
- 規準・規約・定款に定めがあれば「工事完了前」でも換地処分できる(H25)
- 効果(換地みなし・清算金・保留地・公共施設)はぜんぶ「公告の翌日」
年度別——この教材で解けたか
青=「流れ×誰」の表+「いつ」の3行で解けた回。マスの字はずらされた場所(誰=人/時=流れの上の位置/数=数字/質=性質)。カーソルを合わせると、ずらしの種類と決め手が読めます。
個人施行者は、規準又は規約に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
土地区画整理事業の施行により公共施設が設置された場合においては、その公共施設は、換地処分があった旨の公告があった日の翌日において、原則としてその公共施設の所在する市町村の管理に属することになる。
土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、換地処分があった旨の公告があった日の翌日において、すべて市町村に帰属する。
土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、当該土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その組合の組合員とはならない。
土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、従前の宅地に存する建築物を移転し、又は除却することが必要となったときは、当該建築物を移転し、又は除却することができる。
仮換地の指定があった日後、土地区画整理事業の施行による施行地区内の土地及び建物の変動に係る登記がされるまでの間は、登記の申請人が確定日付のある書類によりその指定前に登記原因が生じたことを証明した場合を除き、施行地区内の土地及び建物に関しては他の登記をすることができない。
土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、当該土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その土地区画整理組合の組合員とはならない。
土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築を行おうとする者は、土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
土地区画整理組合は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。
市町村施行の土地区画整理事業において、市町村は、換地処分をした場合においては、その旨を公告しなければならない。
仮換地の指定があった日後、土地区画整理事業の施行による施行地区内の土地及び建物の変動に係る登記がされるまでの間は、登記の申請人が確定日付のある書類によりその指定前に登記原因が生じたことを証明した場合を除き、施行地区内の土地及び建物に関しては他の登記をすることができない。
1年ずつ、上の教材(「流れ×誰」の表+「いつ」の3行)と突き合わせて「解けたか」を判定しました。15回中13回が解けます——値ずらしの10回は「流れ×誰」の1枚(表と補足)で、位置ずらしの3回は「いつ」の3行で。マスにカーソルを合わせれば、全15回のずらしの種類と決め手が読めます。
解けなかった2回も隠さず書いておくと、R2⑩(総会は半数以上の出席=数字)とR2⑫(照応の原則=性質)。どちらも「人」でも「位置」でもない、教材の外からの出題です。ここは過去問を回して拾います。
もうひとつの顔が再出題です。「誰」の10回のうち、同じ文面の使い回しが7回(建築制限3・借地権者も組合員2・登記の起点2)。値ずらしのパターン自体が繰り返されているので、一度表と突き合わせた肢は、次に出ても数秒で切れます。
数字の裏づけ——流れのどの段階から出たか
実際に正解肢になった問数の多い順。よく出ることと、そこで点が決まることは別なので、両方を並べています。
| 論点 | 出題 (肢) | 正解肢に なった数 | 出た回数 (15回中) |
|---|---|---|---|
| 換地処分とその効果 | 15 | 4問 | 9回 |
| 施行者と組合土台 | 12 | 3問 | 5回 |
| 建築制限土台 | 4 | 3問 | 4回 |
| 仮換地土台 | 12 | 2問 | 8回 |
| 登記 | 5 | 2問 | 5回 |
| 換地計画 | 10 | 1問 | 6回 |
| 定義 | 2 | 0問 | 2回 |
横1列が15回ぶんの試験。色が濃いほど、その回に多く出た論点です。 上から出題数の多い順に並べているので、上にあるものほど優先して覚えると効率的です。
量は換地処分(15肢)・施行者と組合(12肢)・仮換地(12肢)に厚く、どの段階もまんべんなく出ます。でも量と点は比例しません。仮換地は12肢で決め手2回、換地計画は10肢で1回——手続きの細部は「正しい肢の材料」が中心で、正誤を分ける仕事をしていません。逆に建築制限は4肢で3回。少ない場所ほど、同じひっかけを繰り返しています。
問題文に何回登場したかの回数です。上位の言葉ほど、本試験で目にする回数が多い=読むときに注意を向けるべき言葉です。
言葉のランキングでも「施行者」「公告」が上位——「誰」と「いつ」を入れ替える科目だ、という型の分析と一致します。
結局、どうするか
換地・仮換地・換地処分と、言葉は最後までいかつい科目です。でも本試験がこの科目で聞いてくるのは、結局「人」の位置——「流れ×誰」の1枚と、公告基準の「いつ」3つだけ持って、肢を読むたびにそこに出てくる「人」を確かめる。難しい言葉を全部覚えにいかず、そこに絞るのがこの科目との正しい距離感だと考えています。
