宅建試験に出る「その他の法令上の制限」——許可権者は誰か?
その他の法令上の制限 ここで押さえておくべきキーワード
「許可が必要」は知っているが「誰の許可か」を答えられるか
宅建試験では、都市計画法・建築基準法・農地法・国土法・土地区画整理法・宅造法のほかに、多数の個別法令による規制が横断的に問われることがあります。「その他の法令上の制限」の問題は、各法令の規制内容を詳細に覚えるより「どの区域で・誰の許可が必要か」という許可権者を正確に把握することが攻略のカギです。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Bランクの論点で、H25・H26・H29年に連続出題されており(合計12問)、各年1問(4択形式)で出ます。試験では「景観地区内の建築等は景観行政団体の長の許可」「土砂災害特別警戒区域内の特定開発行為は都道府県知事の許可」「自然公園の特別保護地区内の行為は国立公園なら環境大臣・国定公園なら都道府県知事」「文化財の現状変更は文化庁長官の許可」という各法令の許可権者の違いが問われます。
なぜ押さえる必要がある?
宅建業務では、取引対象地がさまざまな規制区域に該当しないか確認することが義務です。都市計画法・建築基準法以外にも多くの法令が土地利用を制限しており、35条書面(重要事項説明書)では「法令に基づく制限の概要」として説明が求められます。試験では各法令を横断的に比較させる問題が出るため、「どの法令がどの許可権者か」を一覧表で整理しておくことが効率的な学習方法です。
前提として何を知っておく?
宅地造成等工事規制区域等の個別規制の学習を先に終えた上で、本節でその他の法令を横断的に確認します。法令ごとに規制区域の名称・行為制限の対象・許可権者が異なる点に注意します。
景観法(景観地区内の建築等)
景観法は、良好な景観を形成・保全するための法律です。景観地区内において建築物の新築・増築・外観変更等を行おうとする者は、あらかじめ景観行政団体の長(都道府県・指定都市・中核市または景観行政団体の長)の許可を受けなければなりません(法22条1項)。「景観行政団体」は都道府県・市の双方がなり得るため、「都道府県知事の許可」とは言い切れない点がひっかけポイントです。
また、景観重要建造物の現状変更は制限されます。景観重要建造物に指定された建築物等の増築・改築・移転・除却等をしようとする者は、景観行政団体の長の許可が必要です。
土砂災害防止法(土砂災害特別警戒区域)
土砂災害防止法(正式名称:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)では、土砂災害の危険度に応じて区域を指定します。土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内で特定の開発行為(住宅等の建設を目的とした土地の形質変更)を行おうとする場合は、都道府県知事の許可が必要です(法12条1項)。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)については、特別警戒区域(レッドゾーン)と異なり、開発行為に対する知事の許可制は適用されず(開発行為制限なし)、主として避難体制の整備が義務づけられます。試験では「レッドゾーン=知事の許可が必要」「イエローゾーン=許可不要」の区別が問われます。
地すべり等防止法(地すべり防止区域)
地すべりが発生するおそれがある区域として指定された地すべり防止区域内では、地下水の排除を阻害する行為・地表水の処理に関する一定の工作物の設置・改良などを行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(法8条1項)。地すべり防止区域の規制は都道府県知事が管轄する点を押さえます。
森林法(地域森林計画対象の民有林)
森林法では、地域森林計画の対象となっている一定の民有林において、立木の伐採を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません(法10条の2第1項)。国有林は対象外です。また、保安林内での土地の形質変更等の一定の行為にも都道府県知事の許可が必要です(法34条2項)。
自然公園法(特別保護地区・特別地域内の行為)
自然公園法は、国立公園・国定公園の区域における行為を規制します。特別保護地区または特別地域内での工作物の新築・改築、土地の形質変更などを行おうとする場合、許可権者が公園の種類によって異なる点が最重要ポイントです:
- 国立公園内:環境大臣の許可(法20条3項)
- 国定公園内:都道府県知事の許可(法20条3項)
「自然公園は全て環境大臣が管理する」という誤解が生じやすいですが、国定公園は都道府県が管轄するため都道府県知事が許可権者です。この違いは試験で繰り返し問われます。
文化財保護法(重要文化財の現状変更)
重要文化財に関し、その現状を変更し、または保存に影響を及ぼすような行為をしようとする者は、原則として文化庁長官の許可を受けなければなりません(法43条1項)。都道府県知事の許可ではなく文化庁長官という国の機関が許可権者である点に注意します。
| 法令 | 規制区域・対象 | 許可権者 |
|---|---|---|
| 景観法 | 景観地区内の建築等 | 景観行政団体の長 |
| 土砂災害防止法 | 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の特定開発行為 | 都道府県知事 |
| 地すべり等防止法 | 地すべり防止区域内の一定行為 | 都道府県知事 |
| 森林法 | 地域森林計画対象の民有林の伐採 | 都道府県知事 |
| 自然公園法(国立公園) | 特別保護地区・特別地域内の工作物新築・土地形質変更等 | 環境大臣 |
| 自然公園法(国定公園) | 同上 | 都道府県知事 |
| 文化財保護法 | 重要文化財の現状変更等 | 文化庁長官 |
| 生産緑地法 | 生産緑地地区内の建築等 | 市町村長 |
ここまでの要点は?
- 景観法:景観地区内の建築等 → 景観行政団体の長(都道府県・市)
- 土砂災害防止法:レッドゾーン内の特定開発行為 → 都道府県知事(イエローゾーンは許可不要)
- 地すべり等防止法:地すべり防止区域内の一定行為 → 都道府県知事
- 森林法:地域森林計画対象の民有林の伐採 → 都道府県知事
- 自然公園法:国立公園 → 環境大臣、国定公園 → 都道府県知事(公園の種類で許可権者が変わる)
- 文化財保護法:重要文化財の現状変更 → 文化庁長官(国の機関)
- 生産緑地法:生産緑地地区内の建築等 → 市町村長