「業として行う」とはどういう意味か? — 宅建業法の適用範囲と免許が不要な例外
宅地建物取引業の定義・業の意味・免許不要の例外 ここで押さえておくべきキーワード
「宅地か建物か」「業として行うか」で免許の要否が決まる
「土地を売れば必ず宅建業の免許が必要か?」という疑問から始まります。答えはノーです。宅建業法が規制するのは「宅地または建物の取引を業として行う者」であり、「宅地または建物かどうか」と「業として行うかどうか」の両方を満たす場合にのみ免許が必要になります。この2点の要件に加えて、信託会社・国・地方公共団体など一定の主体には免許不要の特例があります。
この論点はどう出る?
AランクのQ=154超の最重要論点で、毎年出題されます。「宅地の定義(用途地域内の土地・建物の敷地)」「自ら貸借は業に該当するか(しない——媒介・代理のみ該当)」「業かどうかの判断基準(不特定多数・反復継続)」「免許不要の例外(国・地方公共団体・信託会社等)」が繰り返し問われます。「一括して売却するなら業ではない」(○)「破産管財人が換価のため売却するのは業か」(いいえ——宅建業法の適用なし)なども頻出の問いです。
なぜ押さえる必要がある?
宅建業法の第1条にあたる定義論点は、その後の全規制の「入り口」となります。「誰に免許義務があるか」「誰が規制を受けるか」を理解しなければ、35条書面・37条書面・8種制限が「誰に」課せられるのかもわからなくなります。宅建業の定義を正確に把握することが、全単元を貫く基礎です。
前提として何を知っておく?
事務所の設置で、免許取得後に「事務所」に必要な5点セット・専任宅建士設置義務を学びます。本節では「免許が必要か否か」という前段を扱います。
「宅地」の定義(法2条1号)
宅建業法上の「宅地」とは、次の3つです(法2条1号)。
①現在建物が建っている土地(用途地域の内外を問わない)
②建物を建てる目的で取引される土地(実際に建っていなくても、建築目的のある取引であれば「宅地」)
③用途地域内の土地(現在道路・公園・河川・広場・水路として使用されているものを除く)
登記簿上の地目は関係なく、「現況」で判断します。農地でも現況が宅地であれば宅地です。また、③の用途地域内の土地は、農地でも宅地です。一方、用途地域外の土地でも①②に該当すれば宅地とみなされます。
「取引」の定義(法2条2号)
宅建業法上の「取引」は、以下の行為が該当します。
自ら行う「売買・交換」(○)、代理して行う「売買・交換・貸借」(○)、媒介して行う「売買・交換・貸借」(○)
重要なのは「自ら行う貸借(賃貸)は取引に含まれない」という点です(×)。自分が所有する物件を自ら貸し付けることは宅建業には当たりません。アパートオーナーが自分でアパートの賃貸をする行為は、たとえ何戸持っていても宅建業の免許は不要です。
「業」の意味(反復継続+不特定多数)
「業として行う」とは、不特定多数の者に対して、反復継続して行うことをいいます。
「不特定多数」とは、誰でもよいという意味であり、限定された特定の相手だけに販売する場合は「業」に当たりません(例:会社が自社従業員のみに宅地を分譲する場合は「業」ではありません)。この「不特定多数性」は、少人数でも繰り返し見知らぬ相手に売ることを意図していれば満たされることがあります。
「反復継続」とは、繰り返し続けて行うことをいいます。1回きりの売却は反復継続していないため「業」に当たりにくいです。ただし、一括で売却を代理した場合、依頼した売主自身も「自ら業として売却する者」とみなされます(民法の代理の効果が本人に帰属するため)。
また、「破産管財人が破産財団の換価のために宅地を売却する行為」は宅建業に当たりません。破産管財人は不特定多数に対して業として行っているわけではなく、あくまで破産清算の執行として行うためです。
免許が不要な主体
宅建業に該当する取引であっても、以下の主体は免許不要とされています(法78条)。
①国・地方公共団体(法78条1項)
国や都道府県・市区町村が宅地・建物の売買等を行っても宅建業法は一切適用されません。都市再生機構は国とみなされ(法78条1項)、地方住宅供給公社は地方公共団体とみなされます(法78条2項)。
②一定の信託会社・信託銀行(法77条)
国土交通大臣への届け出のみで宅建業を営むことができ、免許は不要です(ただし、免許以外の規制——専任宅建士・業務に関する規制・監督処分等——は適用されます)。
| 取引の種類 | 自ら | 代理 | 媒介 |
|---|---|---|---|
| 売買 | ○(取引) | ○(取引) | ○(取引) |
| 交換 | ○(取引) | ○(取引) | ○(取引) |
| 貸借(賃貸) | ×(取引でない) | ○(取引) | ○(取引) |
ここまでの要点は?
- 宅地:①現在建物が建っている土地 ②建築目的の土地 ③用途地域内の土地(道路・公園等を除く)
- 取引:売買・交換(自ら/代理/媒介)+貸借(代理/媒介のみ)。自ら貸借は取引でない
- 業:不特定多数に・反復継続して行うこと
- 免許不要:国・地方公共団体(法78条)・一定の信託会社等(法77条)
- 破産管財人の換価売却は宅建業に当たらない