同一県内に10か所の事務所があれば大臣免許が必要か? — 免許権者の決め方
事務所の数ではなく「都道府県をまたぐか」が分かれ目
「事務所が10か所あれば大臣免許が必要」と思い込んでいる受験生は多いです。しかし実際は事務所が何か所あっても、すべて同一都道府県内なら知事免許です。免許権者を決めるのは「都道府県をまたいで事務所があるかどうか」という一点のみです。この判断基準を正確に覚えることがこのコマの核心となります。

この論点はどう出る?
Aランクの出題論点で、過去問でも繰り返し登場します。「同一都道府県に2か所以上の事務所を置く場合の免許権者(知事)」「複数都道府県に事務所を置く場合の免許権者(国交大臣)」「大臣免許の申請先(国土交通大臣へ直接提出)」が頻出です。典型的なひっかけは「A県に本店・B県に支店=国交大臣免許」(○)と「A県に10か所の事務所=大臣免許」(×——正しくはA県知事免許)です。
なぜ押さえる必要がある?
免許権者は、後の監督処分(指示・業務停止・免許取消)を行う「処分権者」にも直結します。宅建業者への監督処分では「免許取消は免許権者のみ」が重要ポイントとなります。そのため「誰が免許権者か」を把握しておくことは、監督処分のルールを理解する上でも必須の前提知識です。
前提として何を知っておく?
事務所の定義で「何が事務所か」を確認します。免許権者の判定では「事務所の設置場所(都道府県)」を見るため、事務所の定義を正確に把握していることが前提となります。宅建業法上の「事務所」は「本店(主たる事務所)」と「継続的に業務を行う場所(従たる事務所)」に限られ、申込みを受ける案内所などは原則として事務所には含まれません。
免許権者の決め方(法3条1項)
宅建業を営もうとする者は、免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)から免許を受けなければなりません(法3条1項)。
ルール:事務所が2つ以上の都道府県にある場合→国土交通大臣
ルール:事務所がすべて同一都道府県内にある場合→その都道府県知事
例①:A県に本店と3つの支店→A県知事免許
例②:A県に本店・B県に1つの支店→国土交通大臣免許
例③:A県に本店のみ(支店なし)→A県知事免許
例④:A県に本店10か所・B県に出張所(事務所でない)→A県知事免許(B県の出張所が「事務所」でなければ1都道府県のみ)
なぜ「都道府県をまたぐかどうか」が基準になるのかというと、知事は自県内の業者しか監督できないからです。事務所がB県にもある場合、A県知事では監督できないため、国土交通大臣が免許権者となり全国の監督権限をもって対応します。この仕組みを理解すれば「事務所の数ではなく場所(都道府県)が判断基準」という点が論理的に覚えられます。
また、「案内所」や「展示会場」は宅建業法上の「事務所」には当たりません。たとえB県に案内所を設けていても、そこが「事務所」でなければ免許権者の判断に影響しません。「案内所があるから大臣免許」という思い込みは誤りです。
大臣免許の申請方法(法4条1項)
二以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合、免許の申請書は国土交通大臣に提出します(法4条1項)。実際の提出窓口は、主たる事務所(本店)の所在地を管轄する地方整備局等です。国土交通大臣の権限が地方整備局長等に委任されているためです(法78条の2)。
例えば、本店がA県にあり、B県にも事務所がある場合は、A県を管轄する地方整備局等に申請書を提出します。
申請書の提出は、オンライン申請システム(eMLIT)を利用して行うこともできます。なお、知事免許を申請する場合は、事務所の所在地の都道府県庁に申請書を提出します。いずれの場合も、審査して免許の可否を決定するのは免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)自身です。
免許換え——知事免許と大臣免許の切り替え
知事免許業者が他の都道府県に新しい事務所を設置した場合、知事免許から国交大臣免許に切り替える手続きが必要になります。この切り替えは、廃業届ではなく、免許換え申請で行います。
逆に、大臣免許業者が他の都道府県の事務所をすべて閉鎖して一都道府県のみになった場合は、知事免許への切り替えが必要になります。
注意すべきは、切り替えが「自動的に行われる」わけではなく、業者自身が免許換え申請をする必要がある点です。申請中でも、新しい免許の処分があるまでは従前の免許が有効です。一方、免許換え申請を怠ると、免許取消しの対象になりえます。
| 事務所の状況 | 免許権者 |
|---|---|
| すべての事務所が1つの都道府県内 | その都道府県知事(事務所が何か所でも) |
| 2つ以上の都道府県に事務所あり | 国土交通大臣 |
ここまでの要点は?
- 免許権者の決定基準:都道府県をまたぐか否か(事務所の数ではない)
- 同一都道府県内に10か所でも→知事免許
- 2都道府県以上に事務所→国土交通大臣免許
- 大臣免許の申請:国土交通大臣に直接提出(窓口は本店所在地を管轄する地方整備局等)(法4条1項)
- 事務所構成が変わるときは免許換え申請。免許換えに廃業届は不要
免許権者の決め方
理解度マインドマップチェック
免許権者の決め方
免許権者の決め方
- 判断基準
- 事務所の数
- ならない
- 都道府県
- またぐかどうか
- 同一県に10か所
- その県の知事
- 2県に事務所
- 国土交通大臣
- 案内所
- 入れない
- 事務所の数
- 大臣免許の申請
- 提出先
- 国土交通大臣(窓口は地方整備局等)
- 直接提出
- 直接出す
- 審査決定
- 国土交通大臣
- 提出先
- 免許換え
- 他県に事務所追加
- 免許換え
- 他県事務所を閉鎖
- 免許換え
- 自動切替
- 変わらない
- 廃業届
- 不要
- 申請中
- 使える
- 他県に事務所追加
- 試験でのひっかけ
- 支店数
- 違う
- 出張所
- しない
- 支店数