保証協会の社員の取引で損害を受けたとき、どこへ申請するのか? — 弁済業務保証金の還付と認証手続き
弁済業務保証金の還付・還付充当金 ここで押さえておくべきキーワード
保証協会を通じた還付——営業保証金との違いを正確に押さえる
宅建業保証協会の社員(宅建業者)との取引で損害を受けた者は、社員が供託した営業保証金からではなく、保証協会が供託している弁済業務保証金から弁済を受けます。手続きの流れが営業保証金(法27条)とは異なり、「保証協会の認証」というステップが加わる点が特徴です。還付後の「還付充当金」の納付義務と納付期限も頻出ポイントです。
この論点はどう出る?
Aランクの頻出論点で、Q=13の出題実績があります。「還付を受けられる者の範囲(業者間は対象外)」「認証手続きの主体(保証協会)」「還付充当金の納付先(保証協会)と期限(1か月以内)」「未納の場合の効果(社員の地位を失う)」が問われます。H25年(問39-3)では「還付があったとき、保証協会は当該社員に当該額を最寄りの供託所に供託させる」(×:供託所ではなく保証協会に納付)が問われました。H26年(問39-1)では「還付充当金未納で地位を失った業者が、2週間以内に供託すれば地位を回復できる」(×:回復の方法・期間が誤り)が問われました。
なぜ押さえる必要がある?
弁済業務保証金制度は、宅建業者が保証協会に低額の分担金を納付することで、高額な営業保証金供託の代わりを担う仕組みです。消費者保護の観点から、業者が保証協会の社員であっても非社員であっても、被害を受けた消費者が弁済を受けられる体制が整えられています。ただし、弁済業務保証金の場合は保証協会の「認証」という独自の手続きが必要であり、この流れを正確に把握することが実務上も試験上も重要です。
前提として何を知っておく?
弁済業務保証金の供託では、保証協会が社員の分担金をまとめて弁済業務保証金として供託所に供託する仕組みを学びました。本節ではその保証金から還付が行われる手続きを扱います。
還付を受けられる者の範囲
弁済業務保証金の還付を受けられるのは、保証協会の社員(宅建業者)と宅地・建物の取引をした者(法64条の8第1項)です。
営業保証金(法27条)と同様、宅建業者同士(業者間取引)は対象外となります。業者は専門家として対等な立場にあるため、弁済業務保証金の保護は及びません。また、社員の役員や内部関係者も原則として対象外です。
なお、「社員であった業者」——すでに退会・廃業していても、取引当時に社員であった場合は還付対象となります(被害者の保護を優先)。
還付の限度額と認証手続き
弁済業務保証金から還付を受けられる上限は、「その社員が保証協会の社員でない場合に供託すべき営業保証金の額(相当額)」です(法64条の8第1項)。
例えば、主たる事務所1か所・従たる事務所1か所の社員であれば、本来供託すべき営業保証金は1,000万円+500万円=1,500万円となります。この1,500万円が当該社員との取引から生じた損害の還付上限です。
還付を受けるには、まず保証協会から認証を受ける必要があります(法64条の8第1項)。認証手続きとは、保証協会が「この者はいくらの還付を受けられるか」を確認・承認するプロセスです。認証後、被害者は供託所に還付請求を行います。
保証協会が認証を行わなければ還付は受けられないため、「保証協会への請求→認証→供託所への還付請求」という順序を覚えておく必要があります。
還付充当金の納付義務(法64条の10)
保証協会が弁済業務保証金の還付を行った場合、保証協会は当該社員(または社員であった者)に対して、還付した額に相当する額(還付充当金)の納付を通知します(法64条の10第1項)。
業者はこの通知を受けた日から1か月以内に保証協会へ還付充当金を納付しなければなりません(法64条の10第1項)。
「1か月以内」「納付先は保証協会(供託所ではない)」という2点が頻出です。H25年(問39-3)のように「最寄りの供託所に供託させる」という問は、「保証協会への納付」と混同させるひっかけです。
還付充当金を納付しなかった場合
1か月以内に還付充当金を納付しなかった場合、保証協会は当該社員を除名することができます(法64条の13第1項)。
除名された宅建業者は保証協会の社員でなくなるため、遅滞なく自ら営業保証金を供託しなければなりません(法64条の15)。具体的には、社員の地位を失った日から2週間以内に供託所に営業保証金を供託し、免許権者に届け出なければ業務を続けられなくなります。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 還付対象者 | 社員(宅建業者)と取引した者(業者間取引は対象外) |
| 還付の上限 | その社員が供託すべき営業保証金相当額 |
| 手続き | 保証協会の認証→供託所へ還付請求 |
| 還付充当金の納付先 | 保証協会(供託所ではない) |
| 還付充当金の納付期限 | 通知日から1か月以内(法64条の10第1項) |
| 未納の効果 | 保証協会から除名→遅滞なく営業保証金の供託が必要 |
ここまでの要点は?
- 弁済業務保証金の還付:保証協会の認証→供託所への還付請求という2段階
- 還付対象:社員と取引した者(業者間取引は対象外)
- 還付上限:その社員が供託すべき営業保証金相当額
- 還付充当金:社員が保証協会に1か月以内に納付(供託所への供託ではない)
- 未納の効果:除名→自ら営業保証金の供託が必要