保証協会の社員をやめたら供託金は戻ってくるのか? — 弁済業務保証金の取戻し(法64条の11)
弁済業務保証金の取戻し・弁済業務保証金準備金 ここで押さえておくべきキーワード
保証協会を退会したとき、保証金はどうなるのか
宅建業者が宅地建物取引業保証協会の社員となると、分担金を納付して弁済業務保証金制度の利用ができます。では、廃業・除名等によって社員でなくなった場合、供託されている弁済業務保証金はどうなるのか。このとき取戻しの手続きを行うのは宅建業者ではなく保証協会であり、公告の主体も保証協会です。また、還付が生じた場合に備えた「弁済業務保証金準備金」という制度も重要なポイントです。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクの論点で、「取戻しの公告の主体が保証協会であること」「6か月以上の公告が必要なこと」「還付後の補てん制度(準備金・特別分担金)の仕組み」が問われます。営業保証金の取戻し(法26条:業者自身が公告)と対比して、「弁済業務保証金の取戻しは保証協会が公告する」という違いを混同しないよう注意が必要です。また、還付後の補てん義務として「2週間以内に社員から分担金を追加徴収」する仕組みも試験に出やすいです。
なぜ押さえる必要がある?
弁済業務保証金制度は、宅建業者の廃業後も取引被害者が還付を受けられるよう保護する制度です。保証協会が一元管理するため、取戻しも保証協会を通じて行われます。「個々の業者が供託所に直接申請する」という営業保証金の仕組みとは異なります。この違いを理解することで、第6章(営業保証金)と第7章(保証協会)の制度設計の違いが明確になります。
前提として何を知っておく?
弁済業務保証金の供託で、保証協会が法務大臣・国土交通大臣の定める供託所に弁済業務保証金を供託する仕組みを確認します。個々の社員(宅建業者)が直接供託するのではなく、保証協会が集約して供託する点が営業保証金制度との最大の違いです。
弁済業務保証金の取戻しができる場合
保証協会は、次の場合に弁済業務保証金を取り戻すことができます(法64条の11)。
①社員が廃業・解散・合併等により宅建業者でなくなった場合
②社員が除名された場合
③一部の事務所が廃止され、必要な弁済業務保証金の額が減少した場合
これらのケースでは保証協会が弁済業務保証金の一部または全部を取り戻す手続きを行います。重要なのは、取戻しを行うのは個々の宅建業者ではなく保証協会であるという点です。
取戻しの手続き——6か月以上の公告
弁済業務保証金を取り戻すためには、保証協会が6か月以上の期間を定め、公告をしなければなりません(法64条の11第1項)。この手続きは営業保証金の取戻し(法26条)とほぼ同一の期間ですが、公告の主体が「保証協会」である点が異なります。
公告の趣旨は、取戻し前に損害を受けた者が還付申請を行える機会を保障することです。6か月間の公告期間が経過した後でなければ取戻しができません。
社員から納付された分担金の返還についても、社員でなくなった後に6か月以上の公告が必要とされます(同様の手続き)。
弁済業務保証金準備金
保証協会は、弁済業務保証金の還付に充てるため、あらかじめ一定の積立(弁済業務保証金準備金)を行うことができます(法64条の12第1項)。この準備金は、社員から受け取る分担金の一部を別途積み立てて準備するものです。
保証協会が管理するプールとして機能し、還付が生じた際に不足額が出た場合の補てん財源となります。任意的な積立制度ですが、制度の安定的な運用のために実務上広く活用されています。
特別弁済業務保証金分担金
保証協会が弁済業務保証金の還付を行った結果、供託残高が不足した場合(還付に充てた額が積立準備金を超えた場合等)、保証協会は社員(宅建業者)に対して特別弁済業務保証金分担金の納付を求めることができます(法64条の12第2項)。
この追加分担金の納付期間は1か月以内と定められています。社員が期間内に納付しない場合、保証協会はその社員を除名することができます(法64条の13)。
社員の除名と分担金の返還
特別弁済業務保証金分担金を期限(1か月以内)に納付しなかった社員は保証協会から除名されます(法64条の13)。除名された宅建業者は保証協会の社員でなくなるため、遅滞なく自ら営業保証金を供託所に供託し直さなければなりません。除名後2週間以内に供託を完了しないと、宅建業を続けられない状態となります。
営業保証金の取戻しとの比較
| 営業保証金(法26条) | 弁済業務保証金(法64条の11) | |
|---|---|---|
| 公告の主体 | 宅建業者自身 | 保証協会 |
| 公告期間 | 6か月以上 | 6か月以上 |
| 管理主体 | 宅建業者が直接供託 | 保証協会が一括供託 |
| 制度 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 弁済業務保証金の取戻し | 保証協会が6か月以上の公告後に取り戻す | 法64条の11 |
| 弁済業務保証金準備金 | 保証協会が積み立てる補てん財源(任意) | 法64条の12第1項 |
| 特別弁済業務保証金分担金 | 還付不足時に社員から1か月以内に追加徴収 | 法64条の12第2項 |
ここまでの要点は?
- 弁済業務保証金の取戻し:保証協会が6か月以上の公告後に実施(法64条の11)
- 公告の主体:宅建業者ではなく保証協会(営業保証金と異なる点)
- 弁済業務保証金準備金:保証協会が積み立てる還付補てん財源(法64条の12第1項)
- 特別弁済業務保証金分担金:還付不足時に1か月以内で社員に追加徴収(法64条の12第2項)
- 未納の場合:保証協会は当該社員を除名できる(法64条の13)
過去問で確認しよう
本ユニットの直接の過去問はQ=0のため、以下の観点で理解を確認しておきます。
- 「弁済業務保証金の取戻し公告の主体は誰か」→ 保証協会(宅建業者ではない)
- 「弁済業務保証金の取戻しに必要な公告期間は」→ 6か月以上
- 「還付不足時に社員から追加徴収する期間は」→ 1か月以内