保証協会の社員をやめたら供託金は戻ってくるのか? — 弁済業務保証金の取戻し(法64条の11)
保証協会を退会したとき、保証金はどうなるのか
宅建業者が宅地建物取引業保証協会の社員となると、分担金を納付して弁済業務保証金制度の利用ができます。では、廃業・除名等によって社員でなくなった場合、供託されている弁済業務保証金はどうなるのか。このとき取戻しの手続きを行うのは宅建業者ではなく保証協会であり、公告の主体も保証協会です。また、還付が生じた場合に備えた「弁済業務保証金準備金」という制度も重要なポイントです。

この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクの論点で、「取戻しの公告の主体が保証協会であること」「6か月以上の公告が必要なこと」「還付後の補てん制度(準備金・特別分担金)の仕組み」が問われます。営業保証金の取戻し(法30条:業者自身が公告)と対比して、「弁済業務保証金の取戻しは保証協会が公告する」という違いを混同しないよう注意が必要です。また、還付後の補てんが「まず保証協会が2週間以内に補充供託する(法64条の8第3項)→準備金を充てる→なお足りなければ社員から特別弁済業務保証金分担金を1か月以内に徴収する(法64条の12)」という段構えになっている点も試験に出やすいです。2週間は協会の補充供託、1か月は社員の特別分担金と、主語ごとに整理してください。
なぜ押さえる必要がある?
弁済業務保証金制度は、宅建業者の廃業後も取引被害者が還付を受けられるよう保護する制度です。保証協会が一元管理するため、取戻しも保証協会を通じて行われます。「個々の業者が供託所に直接申請する」という営業保証金の仕組みとは異なります。この違いを理解することで、営業保証金ユニットと保証協会ユニットの制度設計の違いが明確になります。
前提として何を知っておく?
弁済業務保証金の供託で、保証協会が法務大臣・国土交通大臣の定める供託所に弁済業務保証金を供託する仕組みを確認します。個々の社員(宅建業者)が直接供託するのではなく、保証協会が集約して供託する点が営業保証金制度との最大の違いです。
弁済業務保証金の取戻しができる場合
保証協会は、次の場合に弁済業務保証金を取り戻すことができます(法64条の11)。
①社員が廃業・解散・合併等により宅建業者でなくなった場合
②社員が除名された場合
③一部の事務所が廃止され、必要な弁済業務保証金の額が減少した場合
これらのケースでは保証協会が弁済業務保証金の一部または全部を取り戻す手続きを行います。重要なのは、取戻しを行うのは個々の宅建業者ではなく保証協会であるという点です。
取戻しの手続き——6か月以上の公告
弁済業務保証金を取り戻すためには、保証協会が6か月を下らない期間を定め、その期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければなりません(法64条の11第4項)。この期間は営業保証金の取戻し(法30条2項)と同じですが、公告の主体が「保証協会」である点が異なります。
公告の趣旨は、取戻し前に損害を受けた者が還付申請を行える機会を保障することです。6か月間の公告期間が経過した後でなければ取戻しができません。
社員から納付された分担金の返還についても、社員でなくなった後に6か月以上の公告が必要とされます(同様の手続き)。
弁済業務保証金準備金
保証協会は、還付充当金の納付がなかったときの弁済業務保証金の供託に充てるため、弁済業務保証金準備金を積み立てなければなりません(法64条の12第1項)。供託した弁済業務保証金から生じる利息・配当金も、この準備金に繰り入れます(法64条の12第2項)。
保証協会が管理するプールとして機能し、還付が生じた際に不足額が出た場合の補てん財源となります。任意の制度ではなく法律上の義務である点に注意してください(「積み立てることができる」とする出題はひっかけです)。
特別弁済業務保証金分担金
還付があったとき、保証協会は所定の日から2週間以内に同額の弁済業務保証金を供託して穴を埋めます(法64条の8第3項)。このとき準備金を充ててもなお不足する場合、保証協会は社員(宅建業者)に対して、各社員の分担金の額に応じた特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨を通知しなければなりません(法64条の12第3項)。
社員は通知を受けた日から1か月以内に納付しなければなりません(法64条の12第4項)。期間内に納付しない社員は、その時点で社員の地位を失います(法64条の12第5項・64条の10第3項)。ここでも保証協会の除名処分ではなく、法律上当然の失権である点に注意してください。
社員の地位喪失と分担金の返還
特別弁済業務保証金分担金を期限(1か月以内)に納付しなかった社員は、保証協会の社員の地位を失います(法64条の12第5項・64条の10第3項)。社員の地位を失った宅建業者は弁済業務保証金制度の保護から外れるため、その日から1週間以内に、自ら営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません(法64条の15)。供託後は免許権者への届出も必要です(法25条4項)。
営業保証金の取戻しとの比較
| 営業保証金(法30条) | 弁済業務保証金(法64条の11) | |
|---|---|---|
| 公告の主体 | 宅建業者自身 | 保証協会 |
| 公告期間 | 6か月以上 | 6か月以上 |
| 管理主体 | 宅建業者が直接供託 | 保証協会が一括供託 |
| 制度 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 弁済業務保証金の取戻し | 保証協会が6か月以上の公告後に取り戻す | 法64条の11 |
| 弁済業務保証金準備金 | 保証協会が積み立てる補てん財源(義務) | 法64条の12第1項 |
| 特別弁済業務保証金分担金 | 還付不足時に社員から1か月以内に追加徴収(未納=社員の地位を失う) | 法64条の12第3項〜第5項 |
ここまでの要点は?
- 弁済業務保証金の取戻し:保証協会が6か月以上の公告後に実施(法64条の11)
- 公告の主体:宅建業者ではなく保証協会(営業保証金と異なる点)
- 弁済業務保証金準備金:保証協会が積み立てを義務づけられる還付補てん財源(法64条の12第1項)
- 特別弁済業務保証金分担金:還付不足時に通知から1か月以内で社員に追加徴収(法64条の12第3項・第4項)
- 未納の場合:当該社員は社員の地位を失う(法64条の12第5項・64条の10第3項)→1週間以内に営業保証金の供託(法64条の15)
弁済業務保証金の取戻し
理解度マインドマップチェック
弁済業務保証金の取戻し
弁済業務保証金の取戻し
- 取戻し場面
- 社員の廃業
- 対象
- 社員の除名
- 対象
- 事務所廃止
- 取り戻せる
- 手続き主体
- 違う
- 実際の主体
- 保証協会
- 社員の廃業
- 公告
- 主体
- 保証協会
- 期間
- 6か月以上
- 営業保証金との違い
- 宅建業者
- 期間の長さ
- 同じ
- 主体
- 準備金
- 積立
- 積み立てる
- 性質
- 義務
- 目的
- 還付時の補てん
- 積立
- 特別分担金
- 場面
- 還付不足時
- 納付者
- 納付する
- 期限
- 1か月以内
- 未納
- 失う
- 場面
過去問で確認しよう
本ユニットの直接の過去問はQ=0のため、以下の観点で理解を確認しておきます。
- 「弁済業務保証金の取戻し公告の主体は誰か」→ 保証協会(宅建業者ではない)
- 「弁済業務保証金の取戻しに必要な公告期間は」→ 6か月以上
- 「還付不足時に社員から追加徴収する期間は」→ 1か月以内