保証協会とはどんな組織で、どんな仕事をするのか? — 宅地建物取引業保証協会の業務
「保証協会に加入する前の取引」も守ってもらえるのか
宅建業者が保証協会に加入することで、分担金の供託で営業を開始できる(営業保証金より安価)という仕組みは、弁済業務保証金制度で学びました。このコマでは、保証協会という組織そのものに焦点を当てます。保証協会は国土交通大臣の指定を受けた一般社団法人で、弁済業務の他にも苦情解決・研修など複数の業務を担います。また、「業者が加入する前の取引での被害者は弁済を受けられるか」という論点も試験でよく問われます。

この規制で何を学ぶ?どう出る?
Bランクで、保証協会の業務の区分(必須的業務・任意的業務)と、「加入前の取引に係る弁済を受けられるか」が主な出題テーマです。H26年(問39-4)やR4年・R5年では「社員となる前の取引の相手方が弁済を受けられるか」(受けられる:○)が問われました。また、R4年(問39-4)・R5年(問44-4)では任意的業務の「手付金等保管事業」の内容も問われました。
なぜ押さえる必要がある?
弁済業務保証金制度の仕組みは、保証協会が「業者の代わりに弁済の窓口となる」仕組みです。しかし「加入前の取引」の被害者が保護されないのでは制度として不完全です。そのため法律は、加入前の取引で生じた債権であっても保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受けられると定めています。この「加入前でもOK」というポイントは試験での頻出事項であり、直感に反するため正確に記憶しておく必要があります。
前提として何を知っておく?
弁済業務保証金制度の基本と弁済業務保証金の還付を先に確認します。保証協会の業務は弁済業務保証金制度全体の中で機能しているため、制度の流れを把握した上でこのコマを学ぶことが重要です。
保証協会とは何か(法64条の2)
宅地建物取引業保証協会(保証協会)とは、宅建業者のみを社員とする一般社団法人であって、国土交通大臣の指定を受けたものをいう(法64条の2第1項)。現在は全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)とハトマーク宅地建物取引業保証協会(全日保証)の2団体が指定されています。
宅建業者は、保証協会の社員となることで、営業保証金の代わりに弁済業務保証金分担金を保証協会に納付するだけで営業を開始できます。主たる事務所につき60万円・従たる事務所ごとに30万円という低コストで済む(営業保証金は主たる事務所1,000万円+各500万円)点が最大のメリットです。
保証協会の必須的業務(法64条の3第1項)
保証協会が必ず行わなければならない業務(必須的業務)は次の3つです。
① 苦情解決業務:社員業者と宅建業の取引をしたことにより生じた苦情の解決(相談対応・業者への説明要求等)を行う業務(法64条の3第1項1号)。取引の相手方からの苦情を受けた場合、保証協会は業者に対して文書または口頭による説明を求めることができる。
② 研修業務:宅建士その他宅建業の業務に従事し、または従事しようとする者に対して研修を実施する業務(法64条の3第1項2号)。
③ 弁済業務:社員(宅建業者)の取引の相手方等が損害を受けた場合に弁済を行う中核的な業務(法64条の3第1項3号)。弁済業務保証金準備金の積立や、還付が生じたときの弁済業務保証金の供託等も含む。
条文の号の順序は苦情解決(1号)→研修(2号)→弁済業務(3号)です。中核である弁済業務が3号である点は引っかけになりやすいので、順序ごと覚えてください。
保証協会の任意的業務(法64条の3第2項)
保証協会が行うことができる業務(任意的業務)には以下のものがあります。
- 一般保証業務(法64条の3第2項1号):社員との契約により、その社員が受領した支払金・預り金の返還債務等を連帯して保証する業務
- 手付金等保管事業(法64条の3第2項2号):未完成物件の手付金等を保証協会が保管する事業
- 研修費用の助成(法64条の3第2項3号):全国の宅建業者を社員とする一般社団法人が行う宅建士等への研修に要する費用の助成
これらに加えて、国土交通大臣の承認を受けたうえで、宅建業の健全な発達を図るため必要な業務を行うこともできます(法64条の3第3項)。大臣の承認が要るのはこの3項の業務であって、2項の3つ(一般保証業務・手付金等保管事業・研修費用の助成)ではありません。ここは取り違えやすいので注意してください。
手付金等保管事業は任意的業務であり、すべての保証協会が実施しているわけではない点にも注意します。
加入前の取引でも弁済を受けられる
最重要論点として、「業者が保証協会の社員となる前の取引から生じた損害」についても、弁済業務保証金から弁済を受けることができます(法64条の8第1項かっこ書き「社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み」)。
直感的には「加入前の取引は保護されない」と誤解しやすいが、これは誤りです。保証協会はあくまで宅建業者の業務全般に関する保証機能を担っており、加入後に「過去の取引(加入前の取引)」が問題になる場合にも弁済の対象となります。
なぜ加入前の取引も弁済対象になるのかといえば、消費者保護の観点から「業者が保証協会に加入したタイミング」を基準にすると、加入前に被害を受けた消費者が保護されなくなってしまうためです。加入前・加入後に関わらず、宅建業者と取引をした消費者であれば弁済の対象となることが制度の趣旨です。
ここまでの要点は?
- 保証協会 = 宅建業者のみを社員とする一般社団法人で国土交通大臣の指定が必要
- 必須的業務(3つ):①苦情解決業務 ②研修業務 ③弁済業務(法64条の3第1項1号〜3号の順)
- 任意的業務(3つ):①一般保証業務 ②手付金等保管事業 ③研修費用助成(法64条の3第2項)
- 大臣の承認が要るのは健全な発達を図るため必要な業務(法64条の3第3項)。2項の3つには承認不要
- 社員となる前の取引でも弁済業務保証金から弁済を受けられる
保証協会の業務
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