専任・専属専任・一般——3種類の媒介契約はどこが違うのか?
媒介契約の種類及び規制 ここで押さえておくべきキーワード
「この物件、他の業者にも頼んでいいですか?」——答えは契約の種類による
「売却したいが、あちこちの業者に頼んでいいか?」「自分で買い手を見つけたい」——媒介契約の種類によって、依頼者に認められる自由度はまったく異なります。一般媒介契約なら複数業者に同時依頼でき自己発見取引もできますが、専属専任媒介契約では両方が禁止されます。さらに、業者側の義務(レインズへの登録期限・報告頻度)も種類によって変わります。試験で頻出の「3種類の比較表」を正確に覚えることがこの単元の核心です。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
AランクのQ=63超の超頻出論点で、毎年のように出題されます。「専任と専属専任のレインズ登録期限の違い(7日 vs 5日)」「業務報告の頻度(2週間 vs 1週間)」「自己発見取引の可否(専任は可・専属専任は不可)」が最も問われやすいです。H25年(問28-1)では「専任媒介契約のレインズ登録証明書を遅滞なく依頼者に交付しなければならないか」(×:登録後に交付が義務・問題文のニュアンスに注意)が出ました。H26年(問32-1)では「依頼者が秘密にしたいのでレインズ登録しないでほしいと言っても従わなければならないか」(×:専任媒介は登録義務あり・依頼者の意向で免除できない)が出ました。
なぜ押さえる必要がある?
媒介契約は不動産取引の起点です。売主・買主どちらが依頼するかによって報酬も契約形態も変わります。宅建業者が依頼者に対してどのような義務を負うかは、契約の種類次第です。「専任だからレインズ登録は7日以内」という知識が、35条書面(重要事項)・37条書面(契約書面)との組み合わせ問題でも問われることがあります。
前提として何を知っておく?
→ 取引態様の明示
取引態様の明示で、売主・媒介・代理という取引態様の区別を確認します。本節では、「媒介」を依頼された場合に宅建業者が締結する媒介契約の種類を扱います。「代理」の場合も媒介契約に準じた書面の交付義務があることを合わせて押さえておきます(34条の2書面)。
3種類の媒介契約の概要
①一般媒介契約
依頼者が複数の宅建業者に同時に媒介を依頼できる契約形態です。自己発見取引(依頼者自身が相手方を見つけること)も禁止されません。有効期間に法定の上限はなく(当事者間で自由に設定可)、レインズへの登録義務なし、業務報告義務なしです。自由度が高い反面、業者に独占的地位がないため積極的活動が期待しにくい側面もあります。
なお、一般媒介には「明示型」(他の業者への重複依頼を相手方に知らせる)と「非明示型」(知らせない)の2種類があります。
②専任媒介契約
依頼者が1社の宅建業者のみに媒介を依頼する契約形態です。他の業者への重複依頼は禁止されます。ただし、自己発見取引は可能(依頼者自身が相手方を探すことは認められます)。有効期間は最長3か月以内(合意があっても超えられない。長く定めた場合は3か月に短縮)。更新は依頼者の申し出によってのみ可能で、自動更新は禁止。
業者の義務として、①指定流通機構(レインズ)への登録:契約締結日から7日以内(休業日を除く)、②業務報告:2週間に1回以上の頻度で依頼者に報告する義務があります。
③専属専任媒介契約
依頼者が1社のみに依頼し、かつ自己発見取引も禁止される最も制約の強い契約形態です。依頼者が自ら相手方を見つけても、その業者を通じて契約しなければなりません。有効期間は同じく最長3か月以内。
業者の義務として、①レインズへの登録:契約締結日から5日以内(休業日を除く・専任媒介より2日短い)、②業務報告:1週間に1回以上(専任媒介より2倍の頻度)の義務があります。
指定流通機構(レインズ)への登録と証明書
指定流通機構(REINS:Real Estate Information Network System)は、不動産物件情報を宅建業者間で共有するためのネットワーク組織です。専任・専属専任媒介の場合、業者はレインズへの登録義務があります。
登録が完了したら、指定流通機構から発行される「登録を証する書面(登録証明書)」を遅滞なく依頼者に交付しなければなりません(法34条の2第6項)。
「依頼者がレインズへの登録を嫌がった場合」でも、専任媒介・専属専任媒介の場合は登録義務があるため、依頼者の意向によって登録を省略することはできません。
また、物件の売買・交換が成立した場合、業者は遅滞なくレインズの登録を削除(抹消)しなければなりません(法34条の2第10項)。成約後も広告掲載が続く「成約済み物件の放置」は問題となります。
有効期間の更新と上限
専任・専属専任媒介契約の有効期間は3か月以内が上限です。当事者が「6か月」と合意しても無効であり、3か月に短縮されます。
更新は依頼者の申し出によってのみ可能で、宅建業者から自動的に更新することはできません。更新後の期間も3か月以内が上限となります。
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 重複依頼 | 可 | 不可 | 不可 |
| 自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
| 有効期間の上限 | 制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
| レインズ登録 | 義務なし | 7日以内(休業日除く) | 5日以内(休業日除く) |
| 業務報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
「媒介」のみの規制——貸借には34条の2書面不要
媒介契約書面(34条の2書面)の交付義務は、売買または交換の媒介に限られます(法34条の2第1項)。貸借(賃貸借)の媒介には34条の2書面の交付義務はありません。したがって、一般・専任・専属専任の3種類の区分も、貸借の場合には適用される規制ではないことに注意します。
ここまでの要点は?
- 一般:重複依頼○・自己発見○・レインズ義務なし・報告義務なし
- 専任:重複依頼×・自己発見○・レインズ7日以内・報告2週間に1回以上
- 専属専任:重複依頼×・自己発見×・レインズ5日以内・報告1週間に1回以上
- 有効期間:専任・専属専任ともに3か月以内(更新は依頼者の申し出のみ)
- 媒介契約書面(34条の2):売買・交換の媒介のみ適用(貸借は不要)