「第一種低層住居専用地域」にコンビニは建てられるのか?
用途規制 ここで押さえておくべきキーワード
「自分の土地なのに建てたいものが建てられない」——なぜ?
宅地を購入して「大きなビルを建てよう」と計画しても、その土地が第一種低層住居専用地域にあれば実現できない可能性があります。都市計画法が用途地域を定め、建築基準法はその用途地域ごとに「何が建てられるか」を具体的に制限しています。これが用途規制です(法48条1項〜13項、別表第二)。用途地域の計画目標に合わない建物が無秩序に建てられることを防ぎ、住環境・商業環境・工業環境を適切に保全する仕組みです。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Bランクの論点で5問の出題実績があります。試験では「病院は工業地域・工業専用地域・低層住専・田園住居地域に建てられない」「ぱちんこ屋は第一種低層〜第一種中高層では建てられない」「学校(小中高)は工業地域・工業専用地域には建てられない」「工業地域に住宅は建てられるが病院は建てられない」という○×の組み合わせが問われます。全用途地域の表を丸暗記するより「建てられない用途地域はどこか」の例外パターンを押さえる学習が効果的です。
なぜ押さえる必要がある?
用途規制は宅建業務で必須の知識です。取引する土地に「何が建てられるか」を知らずに売買の媒介をすると、買主の目的(病院を建てたいのに工業地域だった等)を達成できない契約を成立させてしまう危険があります。重要事項説明では「用途地域の種別」と「建築できる建物の種類」を説明する義務があり、用途規制は宅建士が必ず習得すべき基礎知識です。
前提として何を知っておく?
→ 建築基準法の構造
建築基準法の構造で集団規定・単体規定の区別と用途地域の種類(第一種低層住居専用地域〜工業専用地域の13種類+用途地域なし)を先に確認します。用途規制は集団規定の代表的な規制です。
用途規制の基本的な考え方
用途規制は「その用途地域にふさわしい建築物のみ建てられる」という規制です。規制が緩い地域(商業地域・工業地域等)では幅広い建物が建てられ、規制が厳しい地域(第一種低層住居専用地域等)では住宅・小規模施設に限定されます。
全用途地域で建てられる建物には次のものがあります:住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿・図書館・老人ホーム・福祉ホーム・変電所・派出所・公衆電話所。これらはどの用途地域でも建築可能です(法48条1項〜13項参照)。
主要建築物の用途規制ポイント
病院(入院施設あり)
病院は建てられない用途地域が多い点が試験頻出です:第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域には病院(入院設備のある施設)は建てられません。これに対し、診療所(入院設備なし)はすべての用途地域で建てられます。「診療所は建てられる、病院は建てられない」という組み合わせがひっかけとして出題されます。
なお、工業地域には病院は建てられませんが、住宅は建てられます。「工業地域に住宅は建てられるが病院は建てられない」という組み合わせは試験の正解肢として頻出です。
ぱちんこ屋・カラオケボックス等
ぱちんこ屋・マージャン屋・場外馬券売り場等は、第一種低層住居専用地域〜第一種中高層住居専用地域では建てられません。商業地域・準商業地域・第二種住居地域・準住居地域等では建築可能です。
第一種低層住居専用地域に「ぱちんこ屋を建てたい」という事例が試験の設問としてよく登場します。閑静な住宅街を守るため騒音を伴う施設は厳しい制限区域では認められません。また同様の理由で、カラオケボックスも第一種低層住居専用地域では建てられません。これらの娯楽系施設は第二種住居地域以上(用途制限がより緩やかな地域)で初めて建築可能となります。
なお、ホテル・旅館は宿泊施設として商業系地域等で建てられる一方、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域・第一種中高層住居専用地域・工業地域・工業専用地域では建てられません。「観光地に近い田園住居地域にホテルを建てたい」という誤解が生まれやすいですが、田園住居地域はホテル禁止です。
店舗については地域ごとに扱いが異なります。第一種低層住居専用地域では延べ面積50㎡以下で住宅に付属する日用品販売店舗のみ可能です。第二種低層住居専用地域では延べ面積150㎡以下・2階以下の店舗等も建てられます。コンビニエンスストア程度の規模(100㎡前後)は第一種低層住居専用地域では建てられませんが、第二種低層住居専用地域からは認められるため、「なぜあの住宅街にコンビニがないのか」の理由がここにあります。
学校(小・中・高等学校)
小・中・高等学校は工業地域・工業専用地域では建てられません。住居系・商業系・準工業地域ではいずれも建てられます。大学・専修学校等は第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・工業地域・工業専用地域では建てられません(適用される用途地域の範囲が小中高と異なります)。
| 建築物の種類 | 建てられない主な用途地域 |
|---|---|
| 病院(入院施設あり) | 低層住専(1・2種)、田園住居、工業、工業専用 |
| ぱちんこ屋等 | 低層住専(1・2種)、田園住居、中高層住専(1種) |
| 小・中・高等学校 | 工業、工業専用 |
| 大学・専修学校 | 低層住専(1・2種)、工業、工業専用 |
| ホテル・旅館 | 低層住専(1・2種)、田園住居、中高層住専(1種)、工業、工業専用 |
| 住宅 | 工業専用 |
ここまでの要点は?
- 病院(入院施設あり):低層住専・田園住居・工業・工業専用には建てられない(診療所はどこでもOK)
- 工業地域:住宅は建てられるが病院は建てられない(混同しやすい)
- ぱちんこ屋等:低層住専〜第一種中高層住専には建てられない
- 学校(小中高):工業・工業専用には建てられない
- 住宅:工業専用地域のみ建てられない