「敷地いっぱいに建てたい」「高くしたい」——どちらも制限がある
建蔽率・容積率など ここで押さえておくべきキーワード
「建蔽率50%」「容積率200%」——この数字が意味すること
土地いっぱいに大きな建物を建てたいという要望は自然ですが、建築基準法はこれを制限します。建蔽率は「敷地に占める建築面積の割合の上限」であり、容積率は「敷地に占める延べ面積の割合の上限」です。建蔽率は「土地のどれだけの面積を建物で覆えるか」(平面)を制限し、容積率は「建物全体の床面積の合計をどこまで許容するか」(立体)を制限します。この二つが建物規模の根本的な制限となります。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクの最重要論点で72問という膨大な過去問が積み上がっています。試験では「建蔽率=建築面積÷敷地面積」「容積率=延べ面積÷敷地面積」の定義から始まり、「角地の1/10加算」「防火地域内の耐火建築物は1/10加算」「商業地域内の耐火建築物は建蔽率制限なし(適用除外)」「前面道路幅員12m未満の場合は道路幅×4/10(住居系)または×6/10(その他)と法定容積率のいずれか小さい方」の4点が繰り返し問われます。計算問題も頻出です。
なぜ押さえる必要がある?
建蔽率・容積率は宅建業務において最も重要な数字の一つです。取引対象地に「何を建てられるか」の設計可能性を判断するために、建蔽率・容積率を正確に把握することは不可欠です。35条書面(重要事項説明書)では「法令に基づく制限の概要」として建蔽率・容積率を説明する義務があります。また建蔽率・容積率の計算誤りは、事業計画が成立しなくなる深刻な問題を引き起こします。
前提として何を知っておく?
→ 建築基準法の構造
建築基準法の構造と用途地域の種類を先に確認します。建蔽率・容積率の数値は用途地域ごとに都市計画で定められており、用途地域を知らなければ適用される数値の選択肢が分かりません。
建蔽率の基本(法53条)
建蔽率(けんぺいりつ)とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです(法53条1項)。
建蔽率 = 建築面積 ÷ 敷地面積
建蔽率は用途地域ごとに都市計画で定められる上限の数値(法定建蔽率)を超えることができません(法53条1項)。たとえば法定建蔽率が6/10の地域では、敷地面積の60%以内の建築面積しか認められません。残りの40%は建物を建てない空間として確保する必要があります。この空き地が通風・採光・延焼防止に寄与します。
建蔽率の加算・緩和・適用除外
① 角地加算:特定行政庁が指定した角地にある建物は、法定建蔽率に1/10を加えた数値(最大)まで緩和されます(法53条3項1号)。道路の2方向に面しているため通風・避難の確保がしやすいという理由によります。
② 防火地域内耐火建築物の加算:防火地域内に耐火建築物等を建てる場合は、法定建蔽率に1/10を加えた数値まで緩和されます(法53条3項2号)。火災リスクが低い建物であるためより多くの面積を使えます。
③ ①と②の両方が当てはまる場合:法定建蔽率に2/10を加えた数値まで緩和されます(1/10+1/10)。
④ 商業地域内の法定建蔽率8/10の地域 + 耐火建築物等:建蔽率の制限が適用除外となり、建蔽率の上限なし(実質10/10)で建てられます(法53条6項1号)。商業地域の中心部で耐火建築物を建てる場合の最大の緩和です。「商業地域の耐火建築物は建蔽率制限なし」は試験の最重要正解肢の一つです。
容積率の基本(法52条)
容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことです(法52条1項)。
容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積
容積率も用途地域ごとに都市計画で定められる上限の数値(法定容積率)を超えてはなりません(法52条1項)。
前面道路による制限:前面道路(建物敷地が面する道路)の幅員が12m未満の場合、別途「道路幅による容積率の上限」も適用されます(法52条2項)。この場合の計算式は:
- 住居系の用途地域:前面道路の幅員(m)× 4/10
- その他の地域(商業・工業系等):前面道路の幅員(m)× 6/10
「法定容積率」と「道路幅による容積率の上限」のうちいずれか小さい方が当該敷地の容積率の最高限度となります(法52条1項・2項)。たとえば住居地域・前面道路幅5m・法定容積率200%の場合、道路幅による制限は5×40%=200%。両方が同じため法定容積率がそのまま適用されます。
| 条件 | 建蔽率の扱い |
|---|---|
| 特定行政庁指定の角地 | 法定建蔽率 + 1/10 |
| 防火地域内の耐火建築物等 | 法定建蔽率 + 1/10 |
| 上記2条件の両方に該当 | 法定建蔽率 + 2/10 |
| 商業地域(法定8/10)+耐火建築物等 | 建蔽率制限なし(適用除外) |
ここまでの要点は?
- 建蔽率=建築面積÷敷地面積(法定建蔽率を超えてはならない)
- 角地加算:+1/10。防火地域内耐火:+1/10。両方該当:+2/10
- 商業地域内の法定8/10 × 耐火建築物等 → 建蔽率制限なし
- 容積率=延べ面積÷敷地面積
- 前面道路幅員12m未満は「道路幅×4/10(住居系)or 6/10(その他)」と法定容積率の小さい方
- 前面道路が複数あれば最も広い幅員を採用