「誰がどれだけ相続する?」— 相続人の範囲・順位と法定相続分
相続人・相続分 ここで押さえておくべきキーワード
「親が死亡したとき、子どもと兄弟姉妹のどちらが相続する?」
亡くなった人(被相続人)の財産を誰がどの割合で承継するか——これが相続の基本問題です。
民法は「誰が相続人になるか」「どの順位で相続するか」「各自の取り分はいくらか」を詳細に規定しています。
宅建試験では相続人の順位・法定相続分・代襲相続の仕組みが毎年出題される重要分野です。
相続人・相続分で何を学ぶ?どう出る?
55問と権利関係最多の出題数を誇るAランク分野です。
「第○順位の相続人は誰か」「法定相続分の計算」「代襲相続が起きる場合・起きない場合」「相続欠格・廃除の効果」が試験の核心です。
具体的な家族関係を与えて「各人の相続分は?」を計算させる問題が多く、一度しっかり整理すれば確実に得点できます。
なぜ押さえる必要がある?
不動産取引では「相続した土地の売却」「共同相続人全員の同意が必要」などのケースが多いです。
誰が相続人かを正確に把握しないと、権限のない者と契約してしまうリスクがあります。
また相続財産に不動産が含まれる場合は登記も必要で、相続の処理は実務で日常的に直面する問題です。
前提として何を知っておく?
相続は「被相続人の死亡」によって開始します(民法882条)。
被相続人の財産(積極財産:不動産・預金等)も消極財産(借金・保証債務等)も、すべて相続の対象となります(包括承継)。
相続人の順位
配偶者(法律上の婚姻関係にある者)は、常に相続人となります(民法890条)。
いかなる血族相続人がいても、配偶者は必ず相続に参加します。
内縁の配偶者は相続人になりません(法律婚のみ)。
血族相続人には順位があります。
先順位の者が存在する場合、後順位の者は相続人になれません。
第1順位:子(民法887条)。
被相続人の子が相続人です。
被相続人より先に子が死亡していた場合は「孫」が代わりに相続します(代襲相続)。
孫も亡くなっていれば曾孫が(再代襲)——子の系統は何代でも代襲が続きます。
第2順位:直系尊属(民法889条1項1号)。
子がいない場合に父母・祖父母等が相続人となります。
より近い親等の者が優先します(父母がいれば祖父母は相続しません)。
第3順位:兄弟姉妹(民法889条1項2号)。
子も直系尊属もいない場合に兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪まで(再代襲はありません)。
図の見方: この図では、「相続人の順位と配偶者の位置づけ」の当事者関係を、矢印の流れに沿って整理しています。
誰がどの権利や地位を引き継ぐのかを順に確認してください。
図解 / 権利関係
配偶者は常に参加し、血族は上位の順位から一組だけ
民法887条・889条・890条
配偶者は常に相続人となり、血族相続人は子、直系尊属、兄弟姉妹の順位で、先順位者がいる場合は後順位者が相続人にならない。
この図で見ること
- 第1順位 子:先に死亡等なら孫・曾孫へ代襲
- 第2順位 直系尊属:子がいないとき・近い親等を優先
- 第3順位 兄弟姉妹:上位がいないとき・代襲は甥姪まで
- 配偶者:法律婚の配偶者は常に相続人
民法887条・889条・890条
代襲相続が起きる場合・起きない場合
代襲相続が認められるのは、相続人が「死亡・欠格・廃除」のいずれかの場合です。
「相続の放棄」をした者の子には代襲相続が認められません——放棄は相続人の意思的な選択であり、その子に利益を与える根拠がないからです。
| 事由 | 代襲相続の可否 |
|---|---|
| 相続人が先に死亡 | あり(子の代襲→孫・曾孫…/ 兄弟姉妹の代襲→甥姪まで) |
| 相続欠格 | あり |
| 廃除 | あり |
| 相続の放棄 | なし |
相続欠格(民法891条)とは、被相続人を殺したり、遺言書を偽造したりするなど一定の不正行為を行った場合に、法律上当然に相続権を失わせる制度です。
廃除(民法892条)は、被相続人が虐待や侮辱を理由に家庭裁判所に申し立てて相続権を剥奪する制度です。
どちらも相続権が消滅し、その者の子が代襲します。
法定相続分
遺言による指定がない場合、各相続人の取り分は法定相続分として民法900条が定めています。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 血族相続人 |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 1/2(子の人数で均等に) |
| 配偶者+直系尊属 | 2/3 | 1/3(人数で均等に) |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4(人数で均等に) |
| 配偶者のみ | 全部 | — |
嫡出子と非嫡出子の相続分は平等です(2013年最高裁違憲判決・民法900条4号改正)。
かつては嫡出子の1/2だったが、現在は同等です。
兄弟姉妹の中で父母の一方のみを同じくする「半血兄弟姉妹」の相続分は、父母双方を同じくする「全血兄弟姉妹」の1/2です(民法900条4号但書)。
遺産分割
相続が開始すると、相続財産は相続人の共有状態となります(民法898条)。
各相続人が具体的にどの財産を取得するかは、遺産分割協議(相続人全員の合意)によって決めます。
全員の合意が必要なため、一人でも反対すれば協議は成立しません。
協議が整わない場合は家庭裁判所の調停・審判で分割します。
なお、被相続人は5年を超えない期間を定めて「遺産分割禁止」を遺言することができ(民法908条)、相続人も相続開始後5年以内の禁止を合意できます(民法908条3項)。
ここまでの要点は?
- 配偶者は常に相続人(法律婚のみ)。
- 相続順位:第1位=子、第2位=直系尊属、第3位=兄弟姉妹。先順位がいれば後順位は相続しない。
- 代襲相続:死亡・欠格・廃除では代襲あり。放棄では代襲なし。
- 兄弟姉妹の代襲は甥・姪まで(再代襲なし)。
- 法定相続分:配偶者+子=1/2ずつ。配偶者+直系尊属=2/3と1/3。配偶者+兄弟=3/4と1/4。
- 嫡出子・非嫡出子は平等。半血兄弟は全血の1/2。
- 遺産分割は全相続人の合意が必要。