「登記記録とは何が書いてある?」— 登記記録の構造と表示に関する登記
登記記録・表示に関する登記 ここで押さえておくべきキーワード
「謄本を取ったら何が読める?」— 登記記録の構造を理解する
不動産取引では必ず「登記事項証明書(登記簿謄本)」を確認します。
記録されている内容を読み解く能力が実務の出発点です。
登記記録は「表題部」と「権利部」から構成され、表題部には不動産の物理的な情報、権利部には所有権等の権利情報が記録されています。
登記記録・表示に関する登記で何を学ぶ?どう出る?
19問が出題され、登記記録の構成・表示に関する登記の申請義務・申請者・分筆合筆の要件が問われます。
「新築建物の表題登記は1か月以内」「表示に関する登記は登記官が職権でできる」「土地の合筆に制限がある」などが頻出のひっかけポイントです。
なぜ押さえる必要がある?
不動産取引の実務において、登記記録の内容を確認することは最優先事項です。
表題部で「どんな土地か」「建物の床面積は」を把握し、権利部(甲区・乙区)で「誰の所有か」「抵当権はついているか」を確認します。
この流れが理解できれば、業者として重要事項説明の根拠を把握できます。
前提として何を知っておく?
不動産登記法(不登法)は、不動産の権利関係を公示することで取引の安全を守る制度です。
「公信力がない」(登記を信じて取引しても必ずしも保護されない)ことは民法の対抗問題で学んだとおりです。
ただし「公示力」(登記があれば第三者に対抗できる)はあります。
登記記録の構造
表題部:不動産の「物理的状況」を記録します。
土地については所在・地番・地目(宅地・田・畑等)・地積(面積)が記録されます。
建物については所在・家屋番号・種類・構造・床面積が記録されます。
表題部の登記が「表示に関する登記」です。
権利部:不動産上の権利情報を記録します。
二つに分かれます。
- 甲区(所有権に関する事項):所有権保存・移転の経緯、差押えなどが記録される。
- 乙区(所有権以外の権利に関する事項):抵当権・地上権・賃借権等が記録される。
図の見方: この図では、「登記記録の構造」を、構成要素どうしの関係で整理しています。
表題部・甲区・乙区のどこに、どの情報が記録されるかに注目してください。
図解 / 権利関係
登記記録は、物理情報と権利情報に分かれる
表題部・甲区・乙区
不動産の登記記録は物理的状況を記録する表題部と、権利情報を記録する権利部に分かれ、権利部は所有権の甲区と所有権以外の乙区に分かれる。
この図で見ること
- 表題部:不動産の物理的状況
- 権利部 甲区:所有権に関する事項
- 権利部 乙区:所有権以外の権利
表題部:不動産の物理的状況。権利部 甲区:所有権に関する事項。権利部 乙区:所有権以外の権利
登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、この記録の写しが入手できます。
特定の部分のみを証明する場合は「一部事項証明書」を請求することもあります。
表示に関する登記
表示に関する登記とは、不動産の物理的状況(所在・種類・面積等)を登記記録に記録する登記です。
権利に関する登記とは異なり、次の特徴があります。
①登記官が職権で行える(民事訴訟のように当事者申請に限らない)。
②申請義務がある場合が多いです。
- 土地の表題登記(地積更正登記等):地積の測量・変更があった場合に義務がある。
- 建物の表題登記:新築の建物については、所有権を取得した日(取得日・通常は建物完成日)から1か月以内に表題登記を申請する義務がある(不登法47条1項)。申請義務を怠ると過料が課せられる。
- 建物の滅失登記:建物が取り壊し等で消滅した場合も1か月以内に申請する義務がある(不登法57条)。
図の見方: この図では、「表示に関する登記の種類と申請義務の整理」を、比較する項目ごとに整理しています。
誰が、どの時点で登記を備えたかに注目してください。
図解 / 権利関係
表示登記は物理情報を公示し、原則として申請義務がある
建物は1か月以内
表示に関する登記について、土地・建物の物理的変化と申請義務、期限を比較する。
この図で見ること
- 土地の表題・変更:所在・地目・地積など・所有者等が申請/職権可
- 建物の表題登記:新築建物の物理情報・取得から1か月以内
- 建物の滅失登記:取壊し・焼失など・滅失から1か月以内
建物は1か月以内
分筆・合筆の登記
分筆とは、一筆の土地を複数の土地(複数の地番)に分割する登記です(例:1000㎡の土地を500㎡と500㎡の2筆に分ける)。
合筆とは、複数の土地(複数の地番)を一筆の土地に合体する登記です(例:隣接する300㎡と200㎡の土地を500㎡に合体する)。
合筆には制限があります。
以下の場合は合筆できません(不登法41条)。
①権利部の記録が違う(一方に抵当権がある・一方だけに所有権移転登記がある等)、②地目が異なる、③地番区域(市区町村の最小区分)が異なる、④接続していない等。
分筆・合筆の申請は、所有者が申請します(不登法36条・37条)。
ただし分筆は行政・裁判所等が命じる場合もあります。
登記記録の閲覧に関しても確認しておきましょう。
何人も、手数料を納付すれば「登記事項証明書」(全部事項証明書・一部事項証明書等)の交付を請求できます(不登法119条)。
登記記録自体はコンピュータデータとして保存されており、誰でも公にアクセスできる「公開主義」をとっています。
登記事項証明書には「現在事項証明書」(現在の記録のみ)と「履歴事項証明書」(過去の記録も含む)があります。
また、登記記録の「閉鎖登記記録」(廃棄・合筆等で閉鎖された登記)も証明書請求の対象になります(不登法119条4項)。
宅建士として取引の際に確認が必要な場合があります。
表題部の地目(宅地・田・畑・雑種地等)の確認は、都市計画法上の用途区域確認と並んで重要な事前調査事項です。
ここまでの要点は?
- 登記記録の構造:表題部(物理的状況)+権利部(甲区:所有権、乙区:所有権以外)。
- 表示に関する登記:登記官の職権も可能。申請義務あり。
- 新築建物の表題登記:取得から1か月以内に申請義務(違反→過料)。
- 分筆:一筆の土地を複数に分ける。合筆:複数を一筆に合体する。
- 合筆は地目・権利内容が一致しないと原則不可。