「競売されても住み続けたい」— 抵当権設定後の使用収益と第三取得者の保護
使用収益・第三取得者の保護 ここで押さえておくべきキーワード
問題数は3問(簡素扱い)。
抵当権設定後の使用収益と第三取得者保護の概要を整理します。
抵当権設定後の使用収益
抵当権が設定された後も、設定者(所有者)は担保不動産を自由に使用収益・処分できます(民法369条)。
賃貸に出すことも、売却することもできます。
ただし「抵当権を侵害する行為」(担保価値を著しく下げる行為:建物の無断取壊し等)は許されません。
抵当権設定後に設定された賃貸借契約は、抵当権者に対抗できません(抵当権の方が先順位)。
したがって競売によって第三者が買い受けた場合、その賃借人は明渡しを求められる可能性があります(ただし6か月の猶予あり:民法395条)。
図の見方: この図では、「抵当権と賃借人保護」の当事者関係を、矢印の流れに沿って整理しています。
債権者・債務者などの立場と、権利が及ぶ範囲に注目してください。
図解 / 権利関係
抵当不動産を売っても、先に登記された抵当権は残る
Bが弁済しなければ、Cが所有していてもAは抵当権を実行できる
抵当権設定者Bが抵当不動産を第三取得者Cへ売却しても、先に登記された抵当権は不動産に残り、抵当権者Aは追及して実行できる。
この図で見ること
- Bが弁済しなければ、Cが所有していてもAは抵当権を実行できる
Bが弁済しなければ、Cが所有していてもAは抵当権を実行できる
第三取得者と抵当権の「追及効」
抵当権には追及効があります——抵当権設定後に所有権が第三者(第三取得者)に移転しても、抵当権はその不動産に追いかけていきます(民法376条)。
つまり第三取得者が買った不動産に抵当権が残り、債務者が弁済しなければ競売にかけられる可能性があります。
第三取得者がこの事態を免れるための手段が二つあります。
①代価弁済(民法378条):抵当権者(債権者)の請求に応じて、第三取得者が売主から取得した売買代金を抵当権者に支払うことで、抵当権を消滅させます。
代価弁済は抵当権者からの請求があって初めて発動します(第三取得者からは請求できません)。
②抵当権消滅請求(民法379条):第三取得者が自ら一定の金額を提示し、その金額を支払うことで抵当権の消滅を求める制度です。
提示額が足りなければ抵当権者は競売を申立てることで対抗できます(競売は2か月以内)。
図の見方: この図では、「代価弁済と抵当権消滅請求の違い」を、比較する項目ごとに整理しています。
債権者・債務者などの立場と、権利が及ぶ範囲に注目してください。
図解 / 権利関係
代価弁済は抵当権者から、消滅請求は第三取得者から動く
民法378条・379条
第三取得者が抵当権を消滅させる代価弁済と抵当権消滅請求について、請求を開始する者と手続を比較する。
この図で見ること
- 代価弁済:抵当権者が第三取得者へ請求・売買代金を支払い抵当権を消滅
- 抵当権消滅請求:第三取得者が抵当権者へ請求・提示額を支払い消滅を求める
- 抵当権者の対応:提示額に不服なら競売申立て・通知から2か月以内
民法378条・379条
ここまでの要点は?
- 抵当権設定後も設定者は使用収益・処分が自由(民法369条)。
- 抵当権に追及効あり:所有権が移転しても抵当権は残る。
- 代価弁済:抵当権者の請求に応じて第三取得者が売買代金を支払う。
- 抵当権消滅請求:第三取得者が金額を提示して抵当権消滅を請求する(2か月以内に競売申立てで対抗可)。