「大工に家を建ててもらった——仕事の完成・瑕疵の責任はどう決まる?」— 請負の法律関係
請負 ここで押さえておくべきキーワード
「リフォームを頼んだが出来栄えが悪い——やり直しを求められる?」
「請負」は「仕事の完成」を目的とする契約です(民法632条)。建設工事・リフォーム・内装工事等は典型的な請負です。完成した仕事が「契約不適合」(設計と異なる・欠陥あり等)の場合の追完請求・報酬減額・損害賠償・解除の権利が、2020年改正後の「担保責任(契約不適合責任)」として規律されています。
請負で何を学ぶ?どう出る?
13問が出題されます。「請負人の担保責任」「注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できる(仕事完成前・後)」「建物の請負では解除できない(解除ではなく損害賠償のみ)→2020年改正で撤廃」「担保責任の通知期間」が問われます。
なぜ押さえる必要がある?
宅建業者が建設業者と協力して新築・リフォームを案内する場面では、工事の契約内容と担保責任の理解が必要です。また「建物請負で解除できるか」の改正点(2020年改正前の旧法では建物等の不動産については解除不可の規定があったが、改正後は廃止)は試験で問われる可能性があります。
前提として何を知っておく?
請負と委任の違い:「請負」は仕事の完成を目的とし、完成した仕事の対価として報酬を受け取ります。「委任」は事務の処理を目的とし、処理した事務の結果(完成)は問いません——後の章で学びます。
請負の基本構造と報酬支払時期
請負:請負人が仕事を完成させる義務を負い、注文者が仕事の完成に対して報酬を支払います(民法632条)。
報酬の支払時期:仕事の目的物(完成品)の引渡しと同時に報酬を支払う(民法633条)——引渡しが先行し、支払いが後になるわけではありません(同時履行)。引渡しが不要な場合は、仕事完成後に支払います。
担保責任(契約不適合責任)
完成した仕事が「契約内容に適合しない」場合(欠陥・設計違反等)、注文者は請負人に対して次の請求ができます(民法634条・637条等)。
①追完請求:補修や代替品の提供等を求める。
②報酬減額請求:不適合の程度に応じて報酬の減額を求める。
③損害賠償請求:請負人の帰責事由(故意・過失等)がある場合に損害賠償を求める。
④契約の解除:契約目的を達成できない場合。
担保責任の通知期間(民法637条1項):注文者は、不適合を知った時から1年以内に通知しなければ担保責任を問えません(2020年改正。旧法では「5年・10年」の期間制限があった)。
旧法との比較:改正前は「建物等の不動産の場合は解除不可」という規定があったが、2020年改正でこの特則が廃止され、建物の請負でも契約目的を達成できなければ解除が可能になりました。
注文者の任意解除権と請負人の危険負担
注文者の任意解除権(民法641条):注文者は、仕事が完成するまでの間、損害を賠償して請負契約を解除することができます。「工事を頼んだが気が変わった」場合でも、損害を賠償すれば解除できます——ただし工事完成後は行使できません。
危険負担(仕事完成前の目的物の滅失):不可抗力(天災等)によって完成前の仕事(目的物)が滅失・損傷した場合、その損失は原則として請負人が負担します(民法634条以下)。ただし注文者の提供した材料の欠陥や注文者の指示によって生じた場合は、注文者が負担します。
下請負(請負の復委任的問題):請負人は原則として「下請負(再委託)」することができます——これは委任と異なる点です。委任では受任者が自ら処理することが前提で再委託は制限されますが、請負では仕事の完成を目的とするため下請けを使うことが許容されます(「指名した人物でないと困る」という特約がない限り)。
請負と委任の比較:①目的——請負は「仕事の完成」・委任は「事務の処理」。②報酬——請負は結果に対して(仕事が完成したら)・委任は処理の対価(委任事務の処理)。③再委託——請負は原則自由・委任は原則として受任者自身が処理(再委任は例外)。この比較は試験では混同しやすいので表で確認しておくとよいでしょう。
宅建業者が消費者(一般個人)との間で行う取引では、注文者(施主)の立場を理解することも重要です。注文住宅の建築請負では、施主が工事業者(請負人)に対して担保責任を主張できますが、「知った時から1年以内に通知」という期限に注意が必要です。引渡し後に発覚した欠陥について、この通知期限を過ぎると担保責任を問えません。業者として「引渡し後も欠陥が見つかったらすぐ通知することが重要」という情報を顧客に伝えることが、トラブル防止に役立ちます。
ここまでの要点は?
- 請負:仕事の完成が目的。報酬は目的物の引渡しと同時。
- 担保責任(契約不適合):追完・報酬減額・損害賠償・解除が可能。
- 不適合の通知は知った時から1年以内(民法637条)。
- 注文者の任意解除権:仕事完成前であれば損害賠償して解除できる。
- 2020年改正:建物でも解除可能(旧法の特則廃止)。