案内所に置くべき宅建士は何名か? — 事務所以外の場所の規制(法31条の3・法50条)
案内所等の標識・専任宅建士・届出義務 ここで押さえておくべきキーワード
分譲マンションの現地販売所にも宅建士を置かなければならないのか
「売買の申し込みを受けるため、マンション現地に販売センターを設けたい」——こうした場所は事務所ではないが、宅建業を営む重要な拠点です。宅建業法は、事務所だけでなく「案内所等」の業務拠点についても、①標識の掲示、②成年者である専任の宅建士の設置、③届出義務の3つを定めています。事務所との違い(専任宅建士の必要人数・届出先)を正確に把握することが試験の核心です。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクの頻出論点で、過去10年で8回程度の出題があります。「案内所での専任宅建士の人数」(1名以上——事務所の「5名に1名以上」と異なる)、「届出先の数と内容」(業務地知事と免許権者の2か所)、「届出の期限」(業務開始の10日前まで)が繰り返し問われます。H29年(問30-2)では甲県知事免許業者が乙県に案内所を設置する場合の届出先(乙県知事と甲県知事の2か所)が問われました。また、「標識は全ての案内所等に必要か」(○:全ての場所に掲示義務)vs「専任宅建士は全ての案内所等に必要か」(×:契約申込みを受ける場合のみ)の違いも頻出です。
なぜ押さえる必要がある?
事務所の設置・専任宅建士の設置では、事務所の規制を学びました。しかし宅建業者の業務は事務所外にも広がります。大規模マンション分譲の案内所や展示会の相談ブースでも、消費者は重要な取引の判断を迫られます。案内所で専任宅建士が不在のまま契約申込みを受けることを禁止し、消費者保護を担保します。届出義務は、行政側が「どこで・いつから・誰が」宅建業を行っているかを把握するための手段です。
前提として何を知っておく?
事務所の設置で「主たる事務所・従たる事務所」と「専任宅建士(5名に1名以上)」を先に確認します。案内所等の専任宅建士は「少なくとも1名以上」(事務所の5名に1名より少なくてよい)という比較が重要です。
標識の掲示義務(法50条1項)
次の場所においては、所定事項を記した標識を掲示しなければなりません(法50条1項・規則19条)。
①継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
②一団の宅地建物(10区画以上の宅地または10戸以上の建物)の分譲を行う案内所
③他の宅建業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理・媒介を行う案内所
④宅建業に係る展示会・公開空き家相談会・現地説明会等を行う施設
標識の掲示義務は上記すべての場所に適用されます。一方、③の他業者の案内所については、代理・媒介を行う業者(B社)がB社の標識を掲示し、自社の専任宅建士を配置する義務を負います。分譲業者A社の標識ではなく、代理等を行うB社の標識が必要です。
成年者である専任の宅建士の設置義務(法31条の3)
成年者である専任の宅建士の設置が必要な場所は「契約または申込みを受ける案内所等」に限られます(法31条の3第1項・規則15条の5の2)。
必要な人数:少なくとも1名以上(事務所は「業務に従事する者5名に1名以上」という基準だが、案内所等は1名以上で足りる)
重要なのは「契約または申込みを受ける」という要件です。ただ物件を案内するだけの場所(申込み・契約を行わない案内所)には設置義務がありません(ただし標識掲示義務はあります)。
また、他の宅建業者Aの物件を宅建業者Bが代理・媒介する案内所を設置する場合、BはB独自の専任宅建士を配置しなければなりません。AとBが別々に専任宅建士を置く必要はなく、その場所でのB業務用に1名いれば足ります。
案内所等の届出義務(法50条2項)
専任の宅建士の設置が必要な場所等(契約・申込みを受ける案内所等)については、業務開始の10日前までに次の2か所へ届け出なければなりません(法50条2項)。
届出先①:その場所の所在地を管轄する都道府県知事(業務地知事)
届出先②:自己の免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)
甲県知事の免許を受けた宅建業者が乙県に案内所を設置する場合は、乙県知事(業務地)と甲県知事(免許権者)の2か所に届け出る必要があります。免許を与えた知事と業務地の知事が異なる場合は必ず2か所の届出が必要です。
届出事項には、商号・免許証番号・所在地・業務内容・業務開始予定日・専任宅建士の氏名が含まれます。
「10日前まで」という期限は比較的短いです。業者は案内所の開設を計画した段階で届出手続きも同時に進める必要があり、「開設当日に届出をしてすぐ業務開始」は認められません。届出前に業務を開始した場合は業務停止・指示処分の対象となりえます。
| 義務の種類 | 対象場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 標識の掲示 | 全ての案内所等(申込みの有無を問わず) | 所定事項を記した標識を掲示(法50条1項) |
| 専任宅建士の設置 | 契約・申込みを受ける案内所等のみ | 少なくとも1名以上(法31条の3) |
| 届出 | 専任宅建士が必要な場所等 | 業務開始10日前までに、業務地知事+免許権者の2か所へ(法50条2項) |
ここまでの要点は?
- 標識掲示義務:全ての案内所等に必要(申込みの有無を問わず)
- 専任宅建士:契約・申込みを受ける案内所等に1名以上(事務所の5名に1名とは異なる)
- 届出先:業務地知事と免許権者の2か所(法50条2項)
- 届出期限:業務開始の10日前まで
- 他業者の物件を代理・媒介する案内所→代理・媒介を行う業者が独自に専任宅建士を置く義務