建物そのものの性能・安全性に関する規制とは?
単体規定など ここで押さえておくべきキーワード
「どこに建てるか」ではなく「どう建てるか」の規制
建築基準法の規制には、「どこに建てるか」(用途規制・斜線制限等の集団規定)と「どう建てるか」(建物の構造・設備の性能基準)の2種類があります。「どう建てるか」を定めた規定群を単体規定といいます。単体規定は都市計画区域の内外を問わず、全国どこでも適用されます(法6条)。これに対して用途規制・斜線制限等の集団規定は都市計画区域・準都市計画区域内にのみ適用されます。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Cランクで7問の出題実績があります。試験では「居室の採光のための窓等の有効面積は床面積の7分の1以上」「居室の天井の高さは2.1m以上」「高さ31mを超える建築物には非常用昇降機の設置義務」「防火区画は延べ面積1,000㎡ごとに設ける」という数字問題が繰り返し出題されます。
なぜ押さえる必要がある?
単体規定は「快適で安全な建物」を確保するための最低基準です。採光・換気・防火・構造安全性のいずれも、建物居住者の生命・健康に直結します。宅建業者として取引対象建物の品質や法適合性について説明する場面で、単体規定の知識は重要な背景となります。また35条書面の説明項目にも「法令に基づく制限の概要」として関連事項の説明が求められる場合があります。
前提として何を知っておく?
→ 建築基準法の構造
建築基準法の構造で「単体規定は全国適用・集団規定は都市計画区域等のみ」という適用区域の違いを先に確認します。本節は単体規定の具体的な内容を学びます。
居室の採光(法28条1項)
建物の居室には一定の採光(自然光の取り込み)が必要です。法28条1項は「住宅、学校、病院、診療所等の居室には、採光のための窓その他の開口部を設けなければならない」と定めており、採光のための有効な面積は、その居室の床面積の7分の1以上でなければなりません(住宅の場合)。
「7分の1以上」という数字は試験頻出です。なお、同じ建築基準法でも換気のための開口部は面積の20分の1以上と規定されており(法28条2項)、採光(7分の1)と換気(20分の1)は異なる基準であることに注意が必要です。
居室の天井の高さ(施行令21条1項)
居室(人が継続的に使用する部屋)の天井の高さは、2.1m以上でなければなりません(施行令21条1項)。この2.1mは「最低の部分」の高さではなく、「床面から天井面までの高さ(の平均)」の最低基準です。なお、「最も低い部分が2.1m以上」という誤解が生じやすいので注意が必要です。傾斜天井がある場合は平均高さで算定します。
防火壁・防火区画(法26条)
延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火壁または防火床によって区画し、各区画の延べ面積を1,000㎡以内としなければなりません(法26条)。これは大規模建築物での火災延焼を食い止めるための規制です。
ただし耐火建築物または準耐火建築物は防火壁の設置義務の対象外です(法26条ただし書)。耐火建築物は建物全体が火に強い構造であるため、1,000㎡ごとの区画を必須としなくてよいという例外です。
非常用昇降機(法34条2項)
高さが31mを超える建築物には、非常用昇降機(エレベーター)を設置しなければなりません(法34条2項)。高さ31mというのはおよそ10〜11階建て相当で、消防隊員がはしご車で届く最大高さを超えることから、この高さ以上の建物への消防活動を担保するために非常用昇降機が義務づけられています。
「高さ31m超の建築物は非常用昇降機の設置義務あり」という数字を試験では頻繁に問います。なお、10階以下の建築物には非常用昇降機は不要ですが、11階以上の建築物には必要となる場合が多いです(建物の構造・用途によって異なります)。
定期報告制度(法12条1項・4項)
特定建築物(ホテル・映画館・学校・百貨店等)の所有者・管理者は、定期的に(原則として1年を超えない間隔で)建築物の安全状況を調査・検査し、特定行政庁に報告しなければなりません(法12条1項)。建物の老朽化・設備の不備による事故を未然に防ぐための制度です。
なお、特定建築設備等(昇降機や特定の建築設備)についても同様に定期報告が必要です(法12条3項・4項)。定期報告制度は建物そのものだけでなく、建物内の設備の維持管理も対象とする点が重要です。特定建築物の定期報告では、建築士や建築設備検査員が調査・検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告する義務があります。
ここまでの要点は?
- 採光(住宅):有効開口面積は床面積の7分の1以上(換気は20分の1以上)
- 天井の高さ:2.1m以上(居室の基準)
- 防火壁:延べ面積1,000㎡超の建築物は防火壁で区画(耐火建築物・準耐火建築物は除外)
- 非常用昇降機:高さ31mを超える建築物は設置義務
- 定期報告:特定建築物は1年以内の間隔で特定行政庁に報告義務