市街地から離れた盛土も規制される? — 特定盛土等規制区域の届出と許可
特定盛土等規制区域 ここで押さえておくべきキーワード
工事規制区域の外でも土砂崩れは起きる
宅地造成等工事規制区域は、市街地またはこれに準じる区域で工事を規制します。しかし実際には、市街化区域の外——山林や農地に近いエリアで大量の盛土を行うことで、離れた市街地の宅地に土砂が流れ込む被害が起きることがあります。令和3年の熱海土石流がその典型例です。
これを受けて盛土規制法(令和4年成立)は、宅地造成等工事規制区域外であっても市街地等への影響が懸念される区域を特定盛土等規制区域として指定し、新たな届出・許可の仕組みを導入しました(法26条以下)。宅地造成等工事規制区域と合わせて、盛土規制法の主要な2区域として理解しておく必要があります。
この制度で何を学ぶ?どう出る?
特定盛土等規制区域はBランクで、近年出題が増加しています。試験で問われる核心は届出の時期(着手の30日前まで)と許可が必要になる場合(政令で定める規模の大規模工事)の区別です。宅地造成等工事規制区域(許可制・工事基準・完了検査)との異同を整理することが理解の鍵になります。
令和6年(問19-4)と令和7年(問19-1)に出題されており、いずれも「届出30日前」および「周辺住民への周知説明義務」に関する正誤問題でした。出題が続いているため、この2点は確実に押さえておくこと。
なぜ押さえる必要がある?
盛土規制法の主な規制手段は「①宅地造成等工事規制区域:市街地等での許可制」と「②特定盛土等規制区域:市街地外での届出制+大規模工事は許可制」の組み合わせです。特定盛土等規制区域が新設されたことで、規制のカバー範囲が市街地の外まで広がりました。法改正の趣旨と規制の構造をセットで理解することで、試験対策上も応用が利きやすくなります。
前提として何を知っておく?
盛土規制法の全体像と宅地造成等工事規制区域の規制内容を先に理解してから読むこと。特定盛土等規制区域は「宅地造成等工事規制区域以外の区域」に指定されるため、まず工事規制区域との関係を把握しておくことが必要です。
特定盛土等規制区域の指定
都道府県知事等は、関係市町村長の意見を聴いた上で、基本方針に基づき、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であって、特定盛土等または土石の堆積が行われた場合に、これに伴い市街地等の区域または隣接する地区において崩壊等による災害のおそれが大きいと認められる区域を特定盛土等規制区域として指定することができる(法26条1項)。
指定権者は都道府県知事等(政令指定都市等の市長を含む)で、宅地造成等工事規制区域と同様です。ただし、特定盛土等規制区域は「宅地造成等工事規制区域以外の区域」にしか指定できません。つまり、この2つの区域は重複せず、合わせて全体をカバーする関係にあります。
届出制(一定規模以下の工事)
特定盛土等規制区域内で特定盛土等または土石の堆積に関する工事を行う工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、工事の計画を都道府県知事等に届け出なければならない(法27条1項)。
この届出義務の対象は、政令で定める規模以下の工事です。届出は着手30日前という点が重要で、試験でよく問われます。なお、政令で定める工事については届出が不要な例外もある(同項但書)。
許可制(大規模工事)
届出だけでなく、政令で定める規模を超える大規模な工事については、工事主は工事に着手する前に都道府県知事等の許可を受けなければならない(法30条1項)。許可制が適用される規模基準は宅地造成等工事規制区域での許可対象規模と同様の水準に設定されています。
届出制と許可制は対象規模によって適用が分かれる構造です。小規模〜中規模の工事は届出(30日前)、大規模工事は許可(着手前)という二段階になっていることを整理しましょう。宅地造成等工事規制区域では原則として一定規模以上の工事はすべて許可制ですが、特定盛土等規制区域では規模によって届出と許可に振り分けられる点が異なります。
周辺住民への周知義務
大規模工事の許可申請をする場合、工事主はあらかじめ土地の周辺住民に対して説明会の開催等により工事の内容を周知させるための措置を講じなければなりません。住民への事前周知を義務付けることで、工事前から地域の理解と協力を得るとともに、住民が危険を把握できるようにする仕組みです。
ここまでの要点は?
- 特定盛土等規制区域 = 宅地造成等工事規制区域外で、市街地等への崩壊被害おそれがある区域。都道府県知事等が指定
- 届出:工事着手の30日前までに届出(政令規模以下の工事)
- 許可:政令規模を超える工事は着手前に許可が必要(宅地造成等工事規制区域での規模基準と同水準)
- 大規模工事の許可申請前に周辺住民への周知(説明会等)が必要
- 宅地造成等工事規制区域とは重複せず、補完的に土地をカバーする