「マンションの部屋は自分のもの——でも廊下は?階段は?」— 専有部分と共用部分
専有部分・共用部分・変更と管理 ここで押さえておくべきキーワード
「エントランスを改装したい——誰が決めるの?」
マンション(区分所有建物)では「自分の部屋(専有部分)」と「廊下・エントランス・エレベーター(共用部分)」が明確に区別されます。
専有部分は自由に使えますが、共用部分は区分所有者全員に関わるため、変更・管理には一定の合意形成が必要です。
専有部分・共用部分・変更と管理で何を学ぶ?どう出る?
17問が出題されます。
「専有部分か共用部分か(区分・法定共用部分)」「共用部分の変更には区分所有者の区分所有者数と議決権の各3/4以上(形状・効用の変更が伴う大規模変更)か過半数(軽微変更)か」の判断が問われます。
「共用部分の持分は専有部分に従って移転する」「共用部分を単独で他に譲渡はできない」も頻出ポイントです。
なぜ押さえる必要がある?
マンション管理の実務で「この改修工事は集会で決議が必要か?」「何分の何以上の賛成がいるか?」を判断するために必須の知識です。
重要事項説明でも区分所有建物の共用部分に関する管理規約の説明が求められます。
前提として何を知っておく?
区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)は、一棟の建物を複数の人が区分して所有する場合のルールを定める特別法です。
区分所有者は「専有部分(自分の部屋等)」の所有権と「共用部分に対する持分」を持ちます。
専有部分と共用部分の区別
専有部分:区分所有権の目的である建物の部分。
一つの建物の壁・床・天井で囲まれた独立した空間で、独立して住居・事務所・店舗等の用途に供することができるもの(区分所有法2条3項)。
共用部分:専有部分以外の建物部分および付属物。
廊下・階段・エレベーター・外壁・玄関・ロビー等が典型例です。
法定共用部分:区分所有法の規定により当然に共用部分となるもの(廊下・階段等)。
規約共用部分:本来は専有部分になりえるが、規約(管理規約)によって共用部分とされたもの(例:集会室・管理人室)。
規約共用部分は登記しなければ第三者に対抗できない(区分所有法4条2項)——これはひっかけとして出題されやすいです。
図の見方: この図では、「専有部分・共用部分の境界と持分の関係」を、構成要素どうしの関係で整理しています。
登場人物・対象物と矢印の向きを順に追ってください。
図解 / 権利関係
区分所有者は、自室と共用部分の持分を一体で持つ
専有部分を譲渡すると共用部分の持分も一緒に移転する
区分所有者は独立した専有部分の所有権と共用部分の持分を持ち、共用部分の持分は専有部分と一体で単独処分できない。
この図で見ること
- 専有部分:各住戸の所有権
- 共用部分:床面積に応じる持分
- 対象:一棟のマンション
専有部分を譲渡すると共用部分の持分も一緒に移転する
共用部分の管理と変更
共用部分への行為は「変更」と「管理」に分類され、必要な決議の要件が異なります。
共用部分の変更:共用部分の形状または効用の著しい変更を伴うもの(大規模な改築・用途変更等)は、区分所有者の数の3/4以上かつ議決権(持分割合)の3/4以上の賛成(特別多数決議)が必要(区分所有法17条1項)。
規約で変更(5分の4への引き上げ等)は可能だが、緩和には区分所有法上の特別決議を要する。
共用部分の管理(変更に至らない程度のもの):普通決議(集会の区分所有者の頭数過半数かつ議決権過半数)で足りる(区分所有法18条1項)。
日常的な補修・清掃・小規模修繕等が該当する。
ただし、各区分所有者は保存行為(共用部分が損壊しないよう維持する行為)を単独で行えます(区分所有法18条1項ただし書き)。
共用部分の持分
共用部分に対する各区分所有者の持分は、原則として「専有部分の床面積の割合」に応じます(区分所有法14条)。
規約で別段の定めも可能です。
重要なルール——共用部分の持分は専有部分の所有権と一体であり、共用部分の持分だけを単独で処分(売却等)することはできない(区分所有法15条2項)。
専有部分を譲渡すると共用部分の持分も自動的に移転します。
管理者:区分所有者は集会の普通決議により「管理者」を選任することができます(区分所有法25条1項)。
管理者は管理組合を代表して共用部分の管理を行い、集会の決議を実行します。
管理者は区分所有者でなくてもなれます(マンション管理業者が管理者になる場合も多い)。
管理者がいない場合でも、各区分所有者が単独で保存行為を行えます。
区分所有法における共用部分の変更と管理の区別は、工事内容によって判断します。
例えばエレベーターの新設(新たに追加する場合)は「形状・効用の著しい変更」として特別決議(3/4)が必要です。
既存エレベーターの修繕(現状維持)は保存行為として各自が単独で行えます。
既存設備のグレードアップ(形状・効用の変更を伴わない改良)は管理行為として普通決議(過半数)で足ります——このグラデーションが試験の判断基準となります。
ここまでの要点は?
- 専有部分:独立した区画(自分の部屋等)。共用部分:廊下・階段・外壁等。
- 規約共用部分:本来は専有部分だが規約で共用にしたもの——登記が必要(第三者対抗のため)。
- 共用部分の大規模変更:3/4以上の特別多数決議が必要。
- 共用部分の管理(小規模):普通決議(過半数)で足りる。
- 共用部分の持分は専有部分と一体——単独処分不可。