「請負人への通知は1年以内」——この数字を覚えた受験生に、出題者はもう数字ではウソをつけません。それでも引っかけは作れます。「工事が終わった日から1年」と書けばいい。正しくは「不適合を知った日から1年」。数字はそのままで、数え始めの位置だけをずらす——これが境界値・起算点の型です。
収録過去問の全肢(非公開扱いを除く2,778本)で、境界の言い回しを数えました。

ここに注目——「以内」「未満」はウソが濃い
| 言い回し | 含む肢 | 誤り率 |
|---|---|---|
| 未満 | 19本 | 68.4% |
| 以内 | 138本 | 65.2% |
| 経過 | 80本 | 63.7% |
| を超える | 59本 | 62.7% |
| 以上 | 18本 | 50.0% |
| 以下 | 31本 | 48.4% |
基準値は56.7%(宅建の肢は誤りが多数派)ですから、「以内」「未満」「経過」を含む肢はウソが濃い側です。ただし先に正直に言います——この数字の大半は期間分析で数えた361本と同じ肢です。解説で境界の含み方・起算点そのものが争点と確認できたのは23本、期間分析と重ならない新規ぶんは実質20〜30本。独立した大鉱脈ではありません。だからこの記事は「数字を覚えたあとの、最後の一貼り」だけを扱います。
型は3つ——どこから・前か後か・ちょうどの値
型1: 起算点ずらし。 冒頭の請負がこれです。令和5年の問3は「工事が終了した日から1年以内に通知」で誤り——正しくは不適合を知った日から。数字を覚えた人ほど「1年、合ってる」で素通りします。
実物で確かめてください。数字ではなく「から」の前を見てから、めくってください。
型2: 前か後かの反転。 保証協会の分担金は「加入する日までに」納付です。令和3年12月の問39は「加入した日から1週間以内」としました——期限としてはむしろ親切に見えますが、前払いが後払いに反転しています。理由ごと持ってください: 分担金は保証協会に入るための入場券だから、入ってから払うのでは順序が逆です。
型3: 境界の値そのもの。 令和5年の問30は、営業保証金の取戻し公告を「3か月を下らない期間」としました——正しくは6か月。令和4年の問30は、割賦販売の定義を「引渡し後6か月以上」としました——正しくは1年以上。どちらも、正しい数字の半分を出してくる素直な数字ずらしで、これは期間分析の守備範囲そのままです。
結局、どうするか
- 数字を覚えたら、その横に「どこから」を1個貼る。 通知は知った日から。分担金は加入する日まで(前払い)。数字とセットでないと、覚えた数字が逆に安心材料にされます。
- 「〜した日から」と書いてある肢は、起点の名詞を丸で囲む。 工事が終わった日か、知った日か。引き渡した日か、契約した日か。囲んだ名詞が違和感なく読めたら、次は数字を疑う——二段構えです。
- 新しく覚えることは少ない、と知っておく。 この類型の実体は20〜30本ぶん。期間分析の箱と対をすでに持っているなら、追加の暗記はほぼ不要で、読み方の注意だけで足ります。
数字の暗記が終わった人へ——出題者の最後の隠し場所は、数字の手前にあります。