期間分析では「30日」「2週間」という日数を数えました。宅建にはもう一種類の数字があります——分数です。代金の10分の2、額面の100分の90、10分の3。
収録過去問の全肢(非公開扱いを除く2,778本)で分数・割合を含む肢を走査すると、45本・誤り率64.0%。基準値56.7%より高く、しかし総数は小さい——正直に言えば、単独で合否を分ける類型ではありません。それでもこの記事を立てたのは、覚える対象がほぼ9個の分数で閉じているからです。45本のために9個。この比率は悪くありません。

宅建の分数は、ほぼこれだけ
| 分数 | 何の数字か |
|---|---|
| 10分の2 | 損害賠償の予定+違約金の上限(8種制限) |
| 10分の1 | 手付金等の保全が要る線(完成物件・※未完成は100分の5) |
| 10分の3 | 割賦販売で所有権留保が禁止になる線 |
| 100分の100 | 営業保証金に充てる国債の評価 |
| 100分の90 | 同・地方債、政府保証債の評価 |
| 100分の80 | 同・その他の有価証券の評価 |
| 過半数・4分の3など | 区分所有の集会決議(組で覚える) |
営業保証金の有価証券は「国が一番信用できて、遠くなるほど割り引かれる」——国100、地方90、その他80と、10ずつ下がる階段です。令和6年の問27はこの階段を1段ずらして「国債は100分の90、地方債は100分の80」としました。実物で確かめてください。
同じずらしは令和3年10月の問34にもあり、まったく同じ段ずらしが3年おきに出ています。階段の絵を1回描けば、両方取れた計算です。
本当のウソは、分数の後ろにある——「超えたらどうなるか」
45本を読むと、意外なことに分数そのものを別の分数に差し替えたウソは少数派です。出題者が好むのは、分数は正しく書いて、超えたときの効果でウソをつく型でした。
令和3年12月の問27——損害賠償の予定を10分の2を超えて定めた特約は「全体として無効となる」。10分の2は合っています。誤りは効果です。正しくは超える部分だけが無効。特約ごと消してしまうと、10分の2までの予定すら失われて、かえって当事者が困るからです。
令和元年の問34——予定額が「10分の2を超えないなら37条書面に記載しなくてよい」。これも分数は正しく、誤りは効果側です。定めた以上、額にかかわらず記載は必要。上限の内側かどうかと、書面に書くかどうかは、別のルールです。
つまりこの類型の半分は、無効・取消し・解除の分析で扱う効果の入れ替えと地続きです。分数を見たら「数は合ってるか」と「超えたらどうなると書いてあるか」の2か所を見る——1個の数字につきチェックポイントは2つあります。
結局、どうするか
- 9個の分数を一覧で1回覚える。 10分の2(賠償予定・手付金)、10分の3(割賦)、100の階段(100・90・80)。総量が小さいので、この記事の表を1度書き写せば終わります。
- 有価証券は「遠くなるほど10引く」の階段で持つ。 国100・地方90・その他80。段ずらしのウソが定番で、同じ形が繰り返し出ています。
- 分数が正しく見えたら、後ろの「効果」を読む。 全体無効か、超える部分だけ無効か。記載不要か、必要か。分数を確認して安心した瞬間が、この類型の狙いどころです。
小さい類型ですが、覚える量も小さい。9個の分数と「効果まで読む」の癖で、45本ぶんを回収してください。