新築住宅を売った業者は10年間の保証をどうやって確保するのか? — 住宅瑕疵担保履行法の仕組み
住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置 ここで押さえておくべきキーワード
倒産しても10年間の保証を維持する仕組み
住宅品質確保法(品確法)は、新築住宅の売主に構造耐力上主要な部分等について10年間の担保責任を義務付けています。しかし、「業者が10年以内に倒産したら?」という問題が残ります。住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)は、宅建業者が自ら売主として新築住宅を非業者に引き渡す場合に、「供託」または「保険加入」のいずれかの資力確保措置を義務付けることで、倒産後も保証が機能する体制を確保しています。
この論点はどう出る?
Aランクの頻出論点で、Q=60の出題実績があります。「対象となる取引(宅建業者が自ら売主×非業者の買主×新築住宅)」「資力確保措置の2択(供託または保険)」「届出の基準日(3月31日・9月30日)と期限(50日以内)」「保証の対象部分(構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分)と期間(10年間)」が繰り返し問われます。H25年(問45-1)では「Bが建設業者の場合、宅建業者Aに資力確保義務はないか」(×:Bが宅建業者でなければ対象となる)、H25年(問45-2)では「基準日から3週間経過後、新たに売買契約を締結できないか」(×:50日が正しい)が出ました。
なぜ押さえる必要がある?
新築住宅の構造部分や防水部分に欠陥が出るのは、引渡しから数年後になることが多いです。このとき業者が倒産していれば、買主は泣き寝入りするしかありません。住宅瑕疵担保履行法は「業者が倒産しても、供託金または保険金から修繕費用が支払われる」という安全網を法律で義務付けました。宅建業者(自ら売主)にこの義務が特に重く課される理由は、大量に住宅を販売するプロ業者ほど、その影響が広範囲に及ぶからです。
前提として何を知っておく?
→ 自ら売主制限総論
自ら売主制限の総論で、8種制限が「宅建業者×非業者の買主」の取引に適用されることを確認します。住宅瑕疵担保履行法は宅建業法の「8種制限」と直接の関係はありませんが、同じく「宅建業者が自ら売主・非業者が買主・新築住宅」という前提のもとで課される義務です。
適用対象(住宅瑕疵担保履行法第2条・第11条)
住宅瑕疵担保履行法の資力確保義務が課されるのは、次の3要件をすべて満たす取引です。
①売主が宅建業者であること(建設業者が自ら請負で建てた場合は別途「建設業者向け規定」が適用)
②買主が宅建業者でないこと(業者間取引には適用されない)
③対象物件が新築住宅であること(既存住宅は対象外)
「Bが建設業者であっても、BがBの業務として宅建業を行っていない一般の建設業者であれば、宅建業者ではないため法の適用対象となる」という点が問題になりやすいです(H25-45-1参照)。建設業者=宅建業者ではないため、混同しないよう注意が必要です。
資力確保措置の内容(法11条)
宅建業者が資力確保措置として選択できるのは次の2つです。
①住宅瑕疵担保保証金の供託
住宅の数・種類等に応じた額の保証金を供託所に供託します。買主が損害を被った場合は供託金から還付を受けることができます。
②住宅瑕疵担保責任保険(保険法人の保険)への加入
国土交通大臣が承認した保険法人の保険に加入します。業者が倒産等した場合、保険法人から直接買主に保険金が支払われます。実務上はこちら(保険加入)が選ばれることが多いです。
どちらか一方の措置を講じれば義務を満たします(両方必要ではありません)。
保証の対象と期間
保証が対象とする部分と期間は、住宅品質確保法(品確法)が定める担保責任の範囲と一致します。
対象部分
①構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁・屋根組等)
②雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁等)
保証期間
引渡しから10年間(品確法94条・95条)
この2種の部分・10年間は確実に覚える必要があります。「断熱材の欠陥」「内装の傷」などは原則として対象外です。
届出の義務(法12条)
宅建業者は、基準日(毎年3月31日・9月30日)ごとに、当該基準日における資力確保措置の状況を免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)に届け出なければなりません(法12条1項)。
届出の期限は、基準日から50日以内です。
届出前または届出後に基準日において資力確保措置が不足している場合は、基準日から50日が経過した日以後は新たに新築住宅の売買契約を締結することが禁止されます(法13条)。
「3週間経過後に新規契約不可」という問(H25-45-2)は×であり、正しくは「50日経過後」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適用対象 | 宅建業者(売主)×非業者(買主)×新築住宅 |
| 資力確保措置 | ①供託 または ②保険加入(どちらか選択) |
| 保証対象部分 | 構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分 |
| 保証期間 | 引渡しから10年間 |
| 基準日 | 毎年3月31日・9月30日 |
| 届出期限 | 基準日から50日以内に免許権者へ |
ここまでの要点は?
- 対象:宅建業者(売主)×宅建業者でない買主×新築住宅(3要件すべて必要)
- 資力確保措置:供託または保険加入のいずれかを選択(両方不要)
- 保証対象:構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分の10年間
- 基準日:3月31日と9月30日の年2回、50日以内に届出
- 届出がないまま50日経過→新規売買契約の締結禁止