都市計画は「市の区域内」にしか適用されないのか?
「自分の土地が都市計画区域に入っているかどうか」はなぜ重要か
宅建士の仕事では「この土地は都市計画区域内か?」という確認が必須です。都市計画区域内かどうかで、用途規制・建蔽率・容積率・開発許可の要否などが大きく変わってきます。しかも都市計画区域は市区町村の境界と必ずしも一致しません。都市計画区域の意味と指定の仕組みを正確に理解することが、この節の出発点です。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクで11問の出題実績がある最重要論点の一つです。試験では「都市計画区域は行政区画と無関係に設定される」「1都道府県の範囲内は都道府県が指定、複数都道府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定」「準都市計画区域は都市計画区域外の区域に指定される」「準都市計画区域も都道府県が指定する」の4点が繰り返し問われます。H22・H23・H26・H28・H30・R2・R3・R5・R6年と連続的に出題されています。
なぜ押さえる必要がある?
都市計画区域は都市計画法のすべての規制の「土台」となる概念です。都市計画区域の中にいるか否かによって、用途規制・建蔽率・開発許可等の適用が変わるため、宅建業務の第一歩として必ず確認が必要になります。また、準都市計画区域は2001年に創設された制度で、都市計画区域外の高速道路インターチェンジ周辺など、無秩序な開発が進む懸念がある区域を対象とした規制です。出題頻度が高まっており、都市計画区域との違いを整理することが重要です。
前提として何を知っておく?
→ 都市計画法の構造
都市計画法の構造で、都市計画法が「どこで」「どんな街を」「どう整備するか」の3段階で機能することを確認した上で本節を学びます。「どこで」の部分が都市計画区域・準都市計画区域の指定に当たります。
都市計画区域とは(法5条)
都市計画区域とは、一体の都市として整備・開発・保全する必要があると認められる地域として指定された区域のことです(法5条1項)。「街づくりを計画的に行っていく場所」と言い換えることができ、都市計画法の諸規制(用途規制・開発許可等)は原則として都市計画区域内で適用されます。都市計画区域の指定がない区域では、都市計画法の多くの規制が適用されないため、街づくりのルールが大きく異なります。
都市計画区域の指定権者は次の通りです:
- 1つの都道府県の区域内に収まる場合 → 都道府県が指定(法5条1項)
- 2以上の都道府県にまたがる場合 → 国土交通大臣が指定(法5条4項)
最大のポイントは、都市計画区域は行政区画(市・区・町・村や都道府県の境界)とは関係なく指定されるという点です(法5条1項参照)。隣接する2つの市にまたがって一体の都市計画区域が設定されることも、1つの市の中に複数の都市計画区域が存在することも理論上ありえます。「都道府県内に複数の都市計画区域が存在することはありえない」という記述は誤りです。指定基準として、市または一定規模以上の市町村の中心の市街地を含み、かつ自然的・社会的条件を勘案して「一体の都市として整備が必要」と認められることが要件です。
図解 / 法令上の制限
都市計画区域は、行政区画とは別に一体の都市として指定される
都市計画区域は市町村境界そのものではない
都市計画区域は行政区画そのものではなく、一体の都市として整備・開発・保全する必要がある範囲として指定されることを示す。
この図で見ること
- 市町村境界をまたぐ指定も、1つの市内に複数区域を置く指定もあり得る
市町村境界をまたぐ指定も、1つの市内に複数区域を置く指定もあり得る

準都市計画区域とは(法5条の2)
準都市計画区域は、都市計画区域の外の区域で、相当数の建築物の建築・建設または敷地の造成が現に行われ、または行われると見込まれる区域のうち、そのまま放置すれば将来の都市整備・開発・保全に支障が生じるおそれがある区域として指定されるものです(法5条の2第1項)。
高速道路のインターチェンジ周辺のような場所では、都市計画区域外であっても急速に開発が進むことがあります。ここで注意したいのは、都市計画区域・準都市計画区域の外がまったくの無規制ではないという点です。区域外でも1ha(10,000㎡)以上の開発行為には開発許可が必要です(法29条2項、令22条の2)。しかし用途地域による用途規制は及ばず、開発許可も1ha未満の開発には及びません。そのため、小規模な建築や造成が積み重なることで無秩序な乱開発が生じる懸念があります。これを防ぐために2001年に創設されたのが準都市計画区域です。試験のひっかけとして「準都市計画区域は都市計画区域に隣接している必要がある」という誤った記述が出ることがありますが、そのような要件は法律にありません。
準都市計画区域の指定権者は都道府県です(法5条の2第1項)。国土交通大臣が指定するわけではありません。
また、準都市計画区域について都市計画に定めることができる地域地区は、法8条2項が限定列挙する次の8種類だけです。
- 用途地域(法8条1項1号)
- 特別用途地区(同2号)
- 特定用途制限地域(同2号の2)
- 高度地区(同3号のうち高度地区に係る部分。ただし準都市計画区域内では建築物の高さの最高限度しか定められません=法8条3項2号ト)
- 景観地区(同6号)
- 風致地区(同7号)
- 緑地保全地域(同12号のうち緑地保全地域に係る部分)
- 伝統的建造物群保存地区(同15号)
裏を返せば、高度利用地区・特例容積率適用地区・高層住居誘導地区・特定街区・防火地域・準防火地域・特別緑地保全地区・緑化地域・生産緑地地区・駐車場整備地区・臨港地区などは準都市計画区域には定められません。「高度地区は定められるが高度利用地区は定められない」(H23出題・正しい)、「準都市計画区域に準防火地域を定めることができる」(H28出題・誤り)というかたちで、この線引きが繰り返し問われています。さらに、区域区分(市街化区域と市街化調整区域の区分)は都市計画区域についてしか定められず(法7条1項)、市街地開発事業も都市計画区域限定です(法12条1項)。準都市計画区域では、用途地域が定められている土地であっても市街地開発事業を定めることはできません。
ここで混同しやすいのが、「建蔽率・容積率・高さ制限」は地域地区の名称ではないということです。これらは用途地域などの内容として都市計画に定める事項(法8条3項2号)や建築基準法上の規制であって、地域地区の種類ではありません。「準都市計画区域に定められる地域地区は何か」を問われたら、上の8種類で答えます。
なお開発許可については、準都市計画区域内の開発行為は3,000㎡以上で許可が必要になります(法29条1項1号、令19条1項)。
| 区分 | 都市計画区域 | 準都市計画区域 |
|---|---|---|
| 所在 | 一体の都市として整備・開発・保全が必要な区域 | 都市計画区域外の区域(乱開発のおそれがある) |
| 指定権者(1都道府県内) | 都道府県 | 都道府県 |
| 指定権者(複数都道府県) | 国土交通大臣 | (複数都道府県のケースは少ない) |
| 行政区画との関係 | 無関係に設定できる | 同様に行政区画と無関係 |
| 定められる地域地区 | 法8条1項の全種類を定めうる | 法8条2項の8種類のみ(用途地域/特別用途地区/特定用途制限地域/高度地区(高さの最高限度のみ)/景観地区/風致地区/緑地保全地域/伝統的建造物群保存地区)。区域区分・市街地開発事業は定められない |
ここまでの要点は?
- 都市計画区域:一体の都市として整備が必要な区域。行政区画と無関係に指定
- 1都道府県内 → 都道府県が指定。複数都道府県 → 国土交通大臣が指定
- 準都市計画区域:都市計画区域外で乱開発のおそれがある区域。都道府県が指定
- 準都市計画区域に定められる地域地区は法8条2項の8種類のみ(用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・高度地区・景観地区・風致地区・緑地保全地域・伝統的建造物群保存地区)。高度地区は高さの最高限度のみ・高度利用地区や準防火地域は定められない
- 都市計画区域・準都市計画区域の外でも、1ha(10,000㎡)以上の開発行為には開発許可が必要(法29条2項)
都市計画区域・準都市計画区域
理解度マインドマップチェック
都市計画区域・準都市計画区域
都市計画区域・準都市計画区域
- 都市計画区域
- 制度の意味
- 街づくりの土台
- 一体の都市として整備が必要な区域
- 規制の入口
- 用途規制・建蔽率・容積率・開発許可など
- 街づくりの土台
- 指定の考え方
- 行政区画との関係
- 一致しなくてよい
- 指定基準
- 市などの中心市街地を含む区域
- 複数区域
- 存在できる
- 行政区画との関係
- 指定権者
- 1都道府県内
- 都道府県
- 2以上の都道府県にまたがる
- 国土交通大臣
- 1都道府県内
- 制度の意味
- 準都市計画区域
- 指定される場所
- 都市計画区域との関係
- 都市計画区域外
- 行政区画との関係
- 一致しなくてよい
- 典型例
- 高速道路インターチェンジ周辺など
- 都市計画区域との関係
- 指定する目的
- 乱開発の防止
- 無秩序な開発
- 将来への支障
- 将来の整備・開発・保全に支障
- 乱開発の防止
- 指定権者と要件
- 指定権者
- 都道府県
- 隣接要件
- 不要
- 指定権者
- 指定される場所
- 規制範囲の違い
- 都市計画区域
- 適用される規制
- 都市計画法の規制が広く及ぶ
- 適用される規制
- 準都市計画区域
- 適用される規制
- 法8条2項が限定列挙する地域地区に限られる
- 代表例
- 用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・高度地区など
- 定められないもの
- どちらも定められない
- 適用される規制
- 都市計画区域