「この土地は市街化区域?市街化調整区域?」——区域区分が変えるもの
都市計画の内容 ここで押さえておくべきキーワード
「市街化を進める地域」と「市街化を抑える地域」——都市計画の本質
都市計画とは、「どこに」「どんな街を」作るかを定めた計画です。都市計画区域の中で、まず「市街化を進めるか抑えるか」という区域区分(線引き)を定め、次にその区域の中で「どんな建物が建てられるか」という用途地域を定めます。この2段階の仕組みが都市計画の骨格です。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Aランクで27問の出題実績があります。試験では「市街化区域:すでに市街地を形成している区域 + おおむね10年以内に計画的に市街化を図るべき区域」「市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域(市街化を禁止する区域ではない)」「三大都市圏では区域区分(線引き)を必ず定める」「用途地域は市街化区域では必ず定める・市街化調整区域では原則として定めない」の4点が繰り返し問われます。
なぜ押さえる必要がある?
区域区分・用途地域は土地の利用可能性を決定する根本的な規制です。「市街化区域に取得した土地は自由に建築できる」という誤解や「市街化調整区域は全く開発できない」という誤解を持つ人が多いです。正確な意味を理解することで、取引対象地の建築可否・開発許可要否を適切に判断できます。35条書面でも区域区分・用途地域の説明は必須です。
前提として何を知っておく?
都市計画区域・準都市計画区域の指定の仕組みを先に確認します。区域区分・用途地域は都市計画区域の内部に定められるものであり、都市計画区域の指定なしには区域区分・用途地域も存在しません。
区域区分(線引き)(法7条)
区域区分とは、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つに区分することです(法7条1項)。線引きとも呼ばれます。無秩序な開発を防ぎ、計画的な市街化を図ることが目的です。
市街化区域:すでに市街地を形成している区域、およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です(法7条2項)。「おおむね10年以内」という文言が試験で問われます。
市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域です(法7条3項)。「市街化を禁止する」ではなく「抑制する」に留まる点に注意します。市街化調整区域内でも、一定の条件下で開発許可を受けて開発行為を行うことができる場合があります。
区域区分の要否:区域区分(線引き)は必ずしも定めなくてよい(任意)ですが、三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)の特定区域においては必ず定めなければならない(法7条3項ただし書)。大都市圏では乱開発の防止が特に重要なため、必須とされています。
用途地域(法8条1項1号)
用途地域とは、区域内でどのような建物が建てられるかを定めたルールです。建築物の用途を制限することで、住環境・商業環境・工業環境の適切な保全を図ります。
用途地域は都市計画の最も基本的な地域・地区で、住居系・商業系・工業系に大別して合計13種類があります。
市街化区域では用途地域を必ず定める(法13条1項7号)。市街化区域は計画的な市街化を図る区域であるため、どんな建物を建てるべきかの方針が必要です。
市街化調整区域では用途地域は原則として定めない。市街化を抑制する区域であるため、用途地域による建物の種類の振り分けは不要とされます。
非線引き都市計画区域(区域区分の定めのない区域)および準都市計画区域では、用途地域を定めることができますが、必須ではありません。
試験頻出の正誤判断:「市街化調整区域には用途地域を定めることができない」→誤り(定めることはできるが、原則として定めない)。
| 用途地域の種類 | 系統 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域 | 住居系(8種類) |
| 近隣商業地域、商業地域 | 商業系(2種類) |
| 準工業地域、工業地域、工業専用地域 | 工業系(3種類) |
図解 / 法令上の制限
都市計画区域は、線引きする場合と線引きしない場合がある
市街化区域・市街化調整区域に分けるかどうかを確認する
都市計画区域の区域区分について、大都市では市街化区域と市街化調整区域に線引きされるが、地方小都市などでは区域区分が定められない場合があることを比較する。
この図で見ること
- 大都市などは区域区分を定める一方、地方小都市では非線引き都市計画区域もある
大都市などは区域区分を定める一方、地方小都市では非線引き都市計画区域もある
補助的地域地区
用途地域の指定だけでは目的を達成できない場合に、用途地域に重ねて(または単独で)定めることができる地域・地区を補助的地域地区といいます(法8条3項)。
代表的なものとして、特別用途地区(用途地域内で特定の用途を制限・促進する)、高度地区(建物の高さの最高・最低限度を定める)、高度利用地区(容積率の最高・最低限度・建蔽率の最高限度等を定め土地の高度利用を促進する)、防火地域・準防火地域(延焼防止のために建物の構造を規制する)、景観地区(都市の良好な景観の形成を図る)などがあります。
試験では「高度利用地区は準都市計画区域では定めることができない」という点が問われることがあります(法8条2項:準都市計画区域では定められない地域地区がある)。
地区計画(法12条の4以下)
地区計画とは、用途地域よりもさらに細かいレベルの街づくりの計画です(法12条の4)。街区(ブロック)や地区ごとに、建物の用途・形態・配置・道路等を細かく定めることで、地域の特性に合った良好な環境を整備・保全する仕組みです。
地区計画は市街化区域・非線引き区域・準都市計画区域に定めることができますが、市街化調整区域では原則として定めることができません。試験では「市街化調整区域に地区計画は定めることができない」という正解肢が繰り返し出題されます。地区計画を定めた区域内では、建築物の形態や工作物の設置等に一定の制限が課せられ、行為の着手前30日までに市町村長への届出が必要となります(法58条の2)。
ここまでの要点は?
- 区域区分(線引き):市街化区域(10年以内の計画的市街化)と市街化調整区域(市街化の抑制)に区分
- 三大都市圏では区域区分を必ず定める
- 用途地域:市街化区域では必ず定める、市街化調整区域では原則として定めない
- 用途地域は住居系8種・商業系2種・工業系3種の計13種類
- 地区計画:市街化調整区域には原則定めることができない