損害を受けたとき、どこに申し出ればいい? — 供託所等に関する説明
供託所等に関する説明 ここで押さえておくべきキーワード
損をさせられたら、どこへ行けばいい?
宅建業者に損害を受けた場合、消費者はどこに救済を求ればよいのか。宅建業法は、取引の前にその窓口(供託所の所在地など)を宅建業者自身が説明することを義務付けています。これが「供託所等に関する説明」です(法35条の2)。
重要事項説明や37条書面のような詳細な手続きと比べると地味な制度ですが、試験では「誰が説明するか」「いつ説明するか」「書面は必要か」「相手が業者でもするか」という細かいポイントが問われます。見落としやすいが確実に出題されるため、今回でしっかり整理しましょう。
供託所等に関する説明で何を学ぶ?どう出る?
宅建業者は、売買・交換・貸借の取引において、契約が成立するまでの間に(成立前に)、取引の相手方に対して供託所等に関する事項を説明しなければなりません(法35条の2)。ここでいう「供託所等」とは、宅建業者が営業保証金を供託している供託所の所在地、または保証協会の社員であればその協会名・弁済業務保証金の供託所の所在地を指します。
Bランク。試験では令和3年の問32で4肢全てが出題されており、4つの論点(書面の要否、相手が業者の場合、説明タイミング、保証協会社員の場合の説明内容)がそれぞれ独立した出題ポイントになっています。一つひとつの論点は単純ですが、正確に記憶していないと正誤を取り違えます。
なぜ押さえる必要がある?
消費者が宅建業者に損害を受けたとき、どこに行けば救済されるかを知らなければ、泣き寝入りするしかなくなります。そのため宅建業法は、取引の前(契約前)に「私はここの供託所に保証金を積んでいます(または保証協会に加入しています)」と宅建業者が自ら伝えることを義務付けました。いわば「クレーム窓口の事前告知義務」です。
この説明は35条書面(重要事項)や37条書面(契約書)とは別の独立した義務として定められています。したがって、「35条書面に記載したから省略できる」というわけではなく、それはあくまで望ましい運用方法として認められているだけです。
前提として何を知っておく?
→ 営業保証金の供託
「供託所」とは何かを知っておく必要があります。宅建業者は、営業保証金を法務局などの供託所に供託して消費者保護の財源としています。また保証協会に加入している業者は、弁済業務保証金分担金を納付することで同様の仕組みに加入できます。供託所等の説明とは、どちらのルートで消費者保護がされているかを告知することです。
誰が・いつ・誰に・何を説明するのか
誰が説明するか
宅建業者が説明します。宅建士ではありません。重要事項説明(35条書面)は宅建士が説明義務を負いますが、供託所等の説明は宅建業者自身の義務です。宅建士でない従業員が説明しても問題ありません。「重要事項の説明は宅建士」「供託所等の説明は宅建業者」と対比で覚えると混乱しません。
いつ説明するか
契約が成立するまでの間(成立前)に行います。重要事項説明も契約前という点は同じですが、供託所等の説明は書面の交付が不要なため、口頭で行うことができます。また、法は「成立するまで」と定めているだけで、具体的な時期(何日前など)は定めていません。
誰に説明するか
取引の相手方等のうち、宅建業者でない者に説明します。相手方が宅建業者の場合は説明不要(法35条の2ただし書)。宅建業者同士の取引では、相手も供託所等の仕組みを熟知しているため、保護の必要がないという判断です。
何を説明するか
宅建業者の状況によって説明内容が変わります。
| 宅建業者の区分 | 説明内容 |
|---|---|
| 保証協会の社員でない業者 (営業保証金を供託) |
営業保証金を供託している供託所の名称・所在地 |
| 保証協会の社員である業者 |
①保証協会の社員である旨 ②保証協会の名称・住所 ③弁済業務保証金が供託されている供託所の名称・所在地 |
試験での頻出ひっかけは「保証協会の社員が、営業保証金の供託所(主たる事務所の最寄り供託所)を説明する」という誤った選択肢です。保証協会の社員は弁済業務保証金の供託所(東京法務局)を説明するのであり、営業保証金ではありません。
書面の交付は必要か
書面の交付義務はありません(法35条の2)。口頭での説明で足ります。
これは重要事項説明(35条書面への記名・書面の交付が義務)や37条書面(書面の交付が義務)とは大きく異なる点です。ただし、実務上の解釈・運用では35条書面(重要事項説明書)にこの供託所等の事項を記載して説明することが「望ましい」とされており、それをもって説明義務を果たしたとみなすことができます。「書面不要」という原則と「書面に記載して説明することは望ましい」という実務対応の両方を覚えておくと試験でも対応できます。
過去問で確認しよう
令和3年問32(R3-12-32)は、供託所等に関する説明のほぼ全論点を網羅した良問です。「書面交付は不要」「相手方が宅建業者なら説明不要」「説明は契約成立前」「保証協会社員は弁済業務保証金の供託所を説明」の4点を確認しましょう。
ここまでの要点は?
- 宅建業者が、契約成立前に、宅建業者でない相手方に説明する義務(法35条の2)
- 相手方が宅建業者の場合は説明不要
- 書面交付義務なし(口頭でOK。35条書面への記載は望ましい)
- 説明内容:保証協会社員でない業者は「営業保証金の供託所」。保証協会社員は「協会名・住所・弁済業務保証金の供託所」
- 保証協会社員が「営業保証金の供託所」を説明するのは誤り