法令上の制限の問題文は、たいてい「市街化調整区域において——」から始まります。この冒頭の区域名を読み流すと、その先にどれだけ知識があっても空回りする——同じ工事でも、区域が違えば結論が逆になるからです。
期間・主体と同じ方法で、収録過去問の全肢(非公開扱いを除く2,778本)から「どこ」の肢を走査しました。最初に、安心できる事実からです。
区域は、5つで閉じています。 市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域)・準都市計画区域・都市計画区域外。宅建の「どこ」は、この5つの引き出しのどれかに必ず入ります。

ここに注目——区域名の肢は、ウソの密集地帯
区域名を含む肢は104本(全体の3.7%)。誤り率は66.3%で、全肢の基準値56.7%(宅建は肢のレベルでは誤りが多数派です)を10ポイント近く上回ります。つまり区域名が出てきた肢は、区域の取り違えを最初に疑う価値がある。
主戦場は市街化調整区域(104本中38本)です。「市街化を抑える区域」という性格上、原則と例外の落差が大きく、ウソを作りやすい——開発許可の要否、用途地域を定めるか、農地転用の扱い。調整区域と書いてあったら、「この区域では原則ダメ・例外は何か」の向きで読み直してください。
区域の取り違えの典型が、平成30年の問16です。「準都市計画区域については、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めなければならない」——区域区分(線引き)を定められるのは都市計画区域であって、準都市計画区域には定められません。区域名を1つずらしただけの、純粋な「どこ」のウソです。
一方、用途地域の肢は「素直」——データが示す意外な差
同じ「どこ」でも、用途地域(第一種低層住居専用地域など13種)の名前を含む肢は36本で、誤り率は47.2%——基準値より9ポイント低い。つまり用途地域の肢は、ウソより本物が多い。
理由は出題のされ方にあります。用途地域の問題は「この建物はこの地域に建てられるか」の表の照合が中心で、表を覚えていれば素直に取れる作りになっている——令和4年の問18は「第一種低層住居専用地域に神社・寺院・教会は建築できない」(誤り——宗教施設と診療所・公衆浴場等はどの用途地域でも建てられる)、令和7年の問18は1,000㎡の飲食店を建てられない地域の列挙(正しい肢)。ひねりではなく、表がそのまま出ます。
実物で確かめてみてください。めくる前に、表の照合だけで答えを出せるはずです。
区域名の肢は疑って読む。用途地域の肢は表を信じて照合する。——同じ「どこ」でも、構えを変えていいことがデータで裏づけられました。
区域は「掛け算の左側」——数字は区域とセットで決まる
区域が本当に効いてくるのは、数字との掛け算です。
| 制度 | 区域 × 数字 |
|---|---|
| 国土法の事後届出 | 市街化区域2,000㎡・それ以外の都市計画区域5,000㎡・区域外10,000㎡ |
| 開発許可 | 市街化区域1,000㎡〜・調整区域は面積を問わず・非線引き/準都計3,000㎡〜・区域外1ha〜 |
| 農地転用(4条・5条) | 市街化区域内だけ許可→届出に変わる |
数字を単独で覚えても、左側の区域を取り違えたら答えは出ません。逆に言うと、「まず区域名を丸で囲む」——この一手だけで、掛け算の半分が確定します。各制度の詳しい表は国土法・都市計画法のコスパ分析にあります。
結局、どうするか
- 問題文を読んだら、最初に区域名を丸で囲む。 知識の照合はそれから。区域が違えば正しい知識でも空回りします。
- 市街化調整区域と書いてあったら、「原則ダメ・例外は何か」の向きで読む。 ウソの4割近くがこの区域に集まっています。
- 用途地域の肢は、疑わずに表と照合する。 ここは出題者も素直で、覚えた表がそのまま点になります。
「どこ」は5つで閉じていて、「誰が」の10人と同じく、新顔は出てきません。問題文の冒頭のひと囲みを、癖にしてください。