「都市計画施設の区域内」に建物を建てるには許可が要るのか?
都市計画事業 ここで押さえておくべきキーワード
「ここに公園を作る計画がある」——でも今はまだ空き地の段階
都市計画で「この場所に都市施設(道路・公園・学校等)を整備する」と決まっても、すぐに工事が始まるわけではありません。計画から事業認可、そして実際の施工まで長い期間がかかります。その間、計画地内に勝手に建物を建てられてしまうと、後で事業施行の障害になってしまいます。そのため、都市計画事業の各段階に応じた建築行為等の制限が設けられています。
この規制で何を学ぶ?どう出る?
Bランクの論点で、H25年・H28年・H29年に出題実績があります。試験では「都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内での建築は知事の許可が必要」「事業認可の告示後(事業地内)では知事の許可なしに土地形質の変更等はできない」の2ステップが問われます。また「木造2階建て以下は容易に移転・除却できるとして許可が受けやすい」という例外も出題されます。
なぜ押さえる必要がある?
都市計画事業は長期にわたる公共事業です。計画段階から施工完了まで複数年かかることが多く、その間の民間の建築行為をどう扱うかは重要な問題です。計画確定後も当面の土地利用を一切禁止するのは過剰規制ですが、施工直前に障害物を作られることも困ります。そのため段階的な規制(計画段階→認可段階→施工段階)が設けられており、各段階で行為制限の厳しさが変わる仕組みになっています。
前提として何を知っておく?
→ 都市計画の内容
都市計画の内容で都市施設・市街地開発事業の意義を確認します。都市計画事業とは、都市施設の整備または市街地開発事業を施行することをいい(法4条15項)、本節の規制はこの事業の各段階において適用されます。
都市計画施設の区域内における建築規制(法53条)
都市計画に都市施設(道路・公園・学校等)が定められると、その区域内での建築行為が制限されます(法53条)。この段階はまだ「計画」の段階であり、事業認可前であっても建築規制がかかる点が重要です。
都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内において、建築物の建築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要です(法53条1項)。許可申請に対して知事は原則として許可しなければなりませんが、許可に際して条件を付けることができます(法54条)。
許可不要の例外として、鉄道・電気等の軌道施設等の建設(政令で定める軽易な行為)や非常災害時の応急措置があります(法53条2項)。また、都市計画事業施行者が行う行為も許可不要です。
許可の基準として重要なのは、木造等の非耐火建築物で、階数が2以下かつ地階のないものは、「容易に移転または除却ができる」として許可が受けやすいです(法54条1号)。一方、これより大きな建物(鉄筋コンクリート造の高層建築等)は許可を得にくいです。
都市計画事業の認可後(事業地内)の制限(法65条)
都市計画事業の認可(または承認)の告示後は、事業地内でより厳格な制限が適用されます(法65条)。事業施行の具体的な準備が始まる段階であり、施行の障害となる行為を防ぐためです。
認可・承認告示後の事業地内では、次の行為を行う場合に都道府県知事等の許可が必要です(法65条1項):
- ①土地の形質の変更
- ②建築物等その他工作物の建設
- ③一定の移動が容易でない物件の堆積または設置
「許可を要する」から「許可なしに行えない」へと制限が厳格化されます。認可告示前(計画段階)との違いは、「土地形質の変更」まで許可対象に加わる点です。また、この段階の許可は法53条の許可よりも厳格に審査されます。
事業地内の土地の有償譲渡(法67条)
都市計画事業の認可・承認の告示後は、事業地内の土地を有償で譲渡しようとする者は、原則として施行者に届出を行わなければなりません(法67条1項)。施行者は届出を受けた後30日以内に、当該土地を買い取る旨を通知することができます。施行者が「買い取る」と通知した場合、当事者間で協議が行われます。
この届出制度(先買い権)は、認可・承認告示後に第三者が事業用地を買い取ることを防ぎ、施行者が円滑に事業用地を取得できるようにするためのものです。施行者が30日以内に「買い取らない」旨を通知した場合、または30日以内に通知がなかった場合は、もともとの売買の相手方(第三者)との取引を進めることができます。
許可不要となる主な行為
法53条・法65条の許可が不要になる行為には次のようなものがあります:
①非常災害時の応急措置:火事・地震等の際に応急的に行う行為は許可不要です。災害対応という緊急性から、事前許可を求めることは合理的でないからです。
②都市計画事業施行者自身が行う行為:施行者は自らが事業を行っているため、自己の事業のために行う土地形質の変更等については許可不要とされます。
③政令で定める軽易な行為(法65条1項ただし書):仮設建築物の建設など、軽微な行為については許可不要とされる場合があります。
これらの例外に該当しない行為については、事業認可告示後は都道府県知事等の許可なしには行えません。許可なしに行った場合は、知事から違反の是正命令を受けることがあります。
ここまでの要点は?
- 都市計画施設の区域内(計画段階):建築等には都道府県知事等の許可が必要(法53条)
- 木造2階以下・地階なし:容易に移転除却できるため許可が受けやすい
- 都市計画事業の認可・承認告示後(事業地内):土地形質変更・建築等・物件堆積にも許可が必要(法65条)
- 非常災害の応急措置・都市計画事業施行者の行為は許可不要
- 事業地内の土地の有償譲渡:施行者への届出が必要(先買い権・30日以内に通知)